「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」:反骨の生涯
映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』は、反骨精神の塊みたいなおじいちゃんフォトグラファーの生涯を追ったドキュメンタリー。今作られる意義のある作品でした。
1921(大正10)年生まれだという福島氏は、太平洋戦争時の従軍経験の後、原爆症で苦しむ被爆者の写真を原点としてその写真家人生を歩んでいきました。 自衛隊、安保、三里塚、ウーマンリブなどを撮り続けていきましたが、その社会派としての矜持の大もとは、常に原爆症の中村さんとの共闘と悔恨だったのだろうと思われます。
そんな福島さんが終盤、2011.3.11後の福島県へと向かいます。彼の原点を考えれば当然の帰結です。TVで福島原発報道を見る福島氏の硬い表情。「なんで日本は広島から学ばなかったのか?!」と憤懣やるかたない心境がにじみ出ていました。 ですからフクシマの被害を撮り終わった老人は、中村さんの墓を訪れ、手を合わせて嗚咽するのです。
本作で最も目を奪われるのは、被写体に対峙した時の福島翁の鋭い身のこなしです。体重37kg(!)というやせっぽちのおじいちゃんが、カメラを手に取ると、実に素早くカッコよくシャッターを切るのです。「全身写真家」ですね。 なにしろ日本の権力や国家を批判している立場なのだからと、年金を拒否し、一切の保護を受けずに、原稿料などで細々と生活している反骨の人なのですから。 クールだぜ。恐れ入りました。
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コメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
投稿: ビジネスマナー | 2012年8月26日 (日) 14時29分