「THE GREY 凍える太陽」:寒さがない、工夫がない
映画『THE GREY 凍える太陽』は、今日び珍しい昔風の映画らしい映画、って感じの外見。館内の平均年齢も高めでした。 ところで丸の内ピカデリーの館内温度設定が高かったのか、何かのミスか、大江戸が観た回は館内の温度が妙に高くって、じっとしていると汗ばむほど。映画館の寒さが苦手な大江戸が言うのですからよっぽどです。てなわけで、この-20℃の極寒の雰囲気が全然出ませんでした(終盤になって、ようやく適度な冷房になったけど)。
もっとも寒そうじゃないのは館内温度のせいばかりではなく、撮影や演出のせいでもあると思います。『八甲田山』のあの圧倒的な寒さの表現に較べると、絵に寒さが写っていません。寒さがハザード<魔物>として捉えられていないのです。
そうなると結局ハザードは狼だけってことで、この手のシチュエーション勝負の作品としては、あまりにも工夫がないと言わざるを得ません。ひたすら雪の中で大イノシシと戦っていた『デンデラ』みたいです。 一人づつ減っていく展開も、予想通りですし・・・。 そして演出が妙にゆったり悠々とし過ぎていて、正直タルイ感じでした。
(以下ネタバレあり) そしてラストは、「えっ?こんな感じで終わるんですかい?」といった具合の、ハリウッド離れした断ち切り方でした。まあリアルにはそうなんでしょうけど、カタルシスないなあと思っていると、エンドロール終了後に短いカットが! これ観ると、ますます気分暗くなるじゃん! なんだかなあ・・・。
でも、開巻まもなくの飛行機事故の場面だけは、見事なド迫力演出でした。ドルビーサラウンドの音響とも相まって、リアルに恐ろし過ぎる映像です。これまでの航空機災害映像史上最恐と言ってもよろしいかと存じます。トラウマになりそうなほどで。 こりゃー、機内では上映できないですね。
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