「汚れた心」:作られなければいけなかった映画
日本の俳優が多数出演したブラジル映画『汚れた心』。「よごれたこころ」」ではなく「けがれたこころ」です。 終戦記念日も近い今、日本人必見の作品と言えるでしょう。あのブラジル移民間で「勝ち組」と「負け組」に分かれて抗争し合い、殺し合ったという歴史上の汚点を描いています。非常に重い映画です。
それにしても恐ろしい話です。そして事実もこのフィクションと大きな差はなかったろうと思わせるものがあります。 「狂信」という、手のつけられない魔物。信じるもののために暴走してしまう狂気。ほとんどオウム真理教のマインド・コントロールを連想させる世界ですが、考えてみれば戦時下の日本は国家ぐるみでマインド・コントロールしていたようなものですからねえ。マスコミも含めて。
今でもこのような国家的マインド・コントロールと狂信に満ちた国があるじゃありませんか。本作を観ると、私たちは単純にあの国を笑えません。恐ろしいことですし、とてつもない悲劇です。
作られなければいけなかった映画です。そして、こういう映画を作り続けていかねばいけないと思います。戦争の本当の恐ろしさやおぞましさを風化させないために。大衆に訴える「映画」というメディアには、そのような啓蒙的・教育的な側面もあるのです。
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