「桐島、部活やめるってよ」:神木くんに感情移入
映画『桐島、部活やめるってよ』は、新聞広告で『アベンジャーズ』に対抗して、「ハリウッドよ、これが日本映画だ」と洒落のめしていましたが(最近『踊る大捜査線』最終作も、似たようなことをやっていましたね)、確かに日本人にしかわからねえだろうなあーっていうニュアンスをたっぷり詰め込んだ佳作です。
時代は変われども、日本の高校生活ってそんなに変わらないんだなーっていう印象。時代よりも、属性ですよね。文化系/体育会系、モテ系/非モテ系、つるみ系/孤独系などなど。そのどこに属するかで、自らのポジショニングと見え方と交友関係が決まってしまうのが日本の(日本に限らないかもしれませんが)学校。その緊張感やいやらしさや閉塞感を、これだけきちんと表現した映画は今まで無かったかも知れません。
この群像劇の感覚は、そうロバート・アルトマンの『ナッシュビル』ですよね。多くの登場人物をきっちりと描き分けながら、じわじわと作品世界を構築していって、最後にみんなが揃って事件が起きる、みたいな。現代へのシニカルな視線を盛り込んだオフビート・コメディーでありながら、真剣なドラマでもある、といった具合に。
神木隆之介くん、いいなあ。運動神経の無い映画オタクの内気なメガネ男子って、なんか他人とは思えないだけに、感情移入できるなあ。 彼が片思いの女子(橋本愛)と偶然映画館で逢った後に、ぎこちなくぎこちなく会話するシークェンスのおかしみと哀しみが圧巻です。神木くんの舞いあがりつつの緊張しまくり感や、バイバイの後で一息に紅茶を飲み干すあたりが、もう最高です。サッカーボールを空振りしちゃう芝居といい、もう君は日本のウディ・アレンになっちゃいなさい!
一方で橋本愛ちゃんは、本作では今一つ輝いてません。急に大人びた感じになっていましたね。まあ役柄上の問題もあったでしょうが・・・。珍しくホラー以外(『HOME 愛しの座敷わらし』だって、妖怪が出ていたわけだし)への出演!かと思ったら、やはり「彼女ならでは」のシーンが用意されたりしていたのでした。なるほど。
それにしても本作も、『SUPER 8 スーパーエイト』も、『キツツキと雨』も、最近の映画内で作られている映画って、なんでゾンビ映画ばっかりなんでしょうねえ?
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