「ゴーイング・マイ・ホーム」:そこはかとなく上質
フジテレビの新ドラマ『ゴーイング・マイ・ホーム』の初回2時間スペシャルを見ました。何と言っても、『誰も知らない』や『歩いても 歩いても』や『空気人形』の是枝裕和が初めて脚本・監督・編集を手掛ける連ドラってだけで、見る価値があるってもんです。
役者陣は是枝組とも言える阿部寛、YOUが兄妹役として基調となる空気感を絶妙の掛け合いで醸し出す中、吉行和子、宮崎あおい、西田敏行、新井浩文そして久々の山口智子らが、抑制しながらそれぞれの持ち味を出しています。
それにしてもゆったりとした時間の中で、ダイアローグの間(ま)や「ニュアンス」を生かしながら、その「そこはかとなさ」やにじみ出る味を愉しむドラマです。ある意味、テレビの視聴者のマジョリティーに媚びることのない造り。「このテンポだと、今のCMでチャンネル替えた人多いだろうなあ」とか「うーん、ながら視聴にはムリだろう」とか、こっちが心配してしまいました。それだけ、旧弊を打破しようとする志の高さを持っているとも思います。
カリカチュアライズされた広告業界(阿部寛のからみ)も笑えますし、ホームドラマ的家族部分は『歩いても 歩いても』を思わせて、その台詞や(またもやの)YOUの快演が面白くってたまりません。 そして映像は、TVドラマでは見かけぬトーン。まあ映画のトーンですよね。きちんとした絵が撮れてます。 ゴンチチの音楽ってのも、『歩いても 歩いても』みたいで、ゆったりと素敵です。
2回目以降が楽しみですが、どうか打ち切りなどという憂き目に遭いませんように。逆に視聴率が良いようでしたら、日本の視聴者ってホント大したもんだってことになるんですけど・・・。
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