「新しい靴を買わなくちゃ」:スイート・ドリーム
映画『新しい靴を買わなくちゃ』は、観る人によってかなり評価が分かれる映画でしょう。それを言ったら、北川悦吏子監督の師匠に当たる岩井俊二(本作ではプロデュース&撮影監督)の『ヴァンパイア』の方がさらに観る者を選ぶ作品ですけどね。
向井理と中山美穂、実年齢で12歳の違い・・・画面の印象だと、むしろ二十歳近く違うんじゃないかって感じがします。まあ当世、そういう年の差カップル(しかも女性が年上)ってのも増えてきているみたいなので、別にアリなんでしょうけど。それに、北川さんとしてはそういう自らを鼓舞し、癒し、喜ばせるような話を作りたかったのでしょうし・・・。ある程度人生経験を積んだ女性のスイート・ドリーム。
それにしてもパリ観光映画ですね。もう開き直ってパリ観光映画やってますけど、それはそれでいいんじゃないですか。岩井キャメラも心地良い絵ですし。 ただ家屋内でのお話場面がやけに多いので、観光も中ぐらいなりってところなんですけどね。
中山美穂、さすがに老けたなあって感はありますけど、最初のうちクタビレた感じにしておいて、恋の進展とともに生き生きと輝いてくるってのは常道でありまして、本作もその例外ではないのですね。オトナカワイサも(少々ブリッコながら)見えてきますが、一方で結構戦略的に事を進めているあたりを匂わせるあたりも、北川さんならではの面白さ。 また、向井の妹役の桐谷美玲が、ムチャクチャワガママ勝手なお嬢さんで、「ああ、これまで自分を中心に世界が回ってくれていたんだろうなあ」って感じ。彼氏(綾野剛)とイチャイチャベタベタしているところは、見てる方が恥ずかしくなるような大甘テイストでした。
(以下ネタバレあり) 常識だと主人公二人が確実に結ばれるであろう展開なのですが、結局最後の一線は越えずじまいなんですよねえ。そこらへんの清潔なほろ苦さ、ほろ甘さがいかにも岩井&北川コンビらしい選択です。ロマンティック・ノヴェルのような一篇でした。
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