「最終目的地」:さすがのアイヴォリー節
映画『最終目的地』は、ジェイムズ・アイヴォリー監督作品&豪華キャストの割には、都内で1館のみの地味な公開。こういう作品には難しい時代ですねえ。
ウルグアイが舞台ってのが、そもそも珍しいですよね。その隔絶された「帝国」におけるアンソニー・ホプキンスの知的でちょっとシニカルなな作家像。 その性格の悪い妻がローラ・リニー。ホプキンスの長年のボーイフレンドが真田広之。そしてシャルロット・ゲンズブールが、なかなかいいんですね。
堂々と、優雅に、アイヴォリーが物語を語っていきます。その衒いのない素直な語り口に、無理なく引き込まれます。なんだか上質の小説を読んだ時の感覚に似ています。人物の感情で、物語を動かしていくのです。そしてやはり「恋愛至上主義」なのが、アイヴォリーらしいところ。
真田は実にナチュラル。ことさらにステレオタイプのゲイ演技などはせずに、英語の芝居をさらりと気負わずに流しています。
それにしても奥様役ローラ・リニーが鼻もちならない性格破綻者の金持ちで(顔も気に入らなかったので)、大江戸はずっとムカついてました。主人公(オマー・メトワリー)の奥様もかなり気の強い、ちょっと勘弁してもらいたいタイプだったので、「やれやれ」って感じでしたけど。 (以下ネタバレあり) この嫌な女二人がそれなりに人生を謳歌しちゃっているラストには、「まあ世の中って、そういうもんかもね」という感想を持ったオトナな小生なのでした。
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