「最強のふたり」:ザ・佳作
映画『最強のふたり』は、実話に基づいてるんですね、コレ。最後になって、実際のふたりの映像が出てきて、初めて「ああ、そうだったんだ」と知りました。まあそうだとしても、本作の面白さは多分にフィクショナルな部分に負っていそうなので、そんなことはどうでもいいのです。
非常に「よく出来た」映画で、ソツがないのです。「構える」必要のない娯楽作に仕上がってます。こんな身障者モノでありながら、教育性や社会性はちょびっとで、基本的にカラッとしてて普通に笑えるのです。そして基本的に悪い人は登場しないし悲劇は起きないので、てても気持ちの良い作品となっています。
作品成功の要因は、大柄な黒人青年を演じたオマール・シーの陽性で品のある個性。下品になりかねない役を、ある種の高潔感を伴ってパワフルに演じていて、大したものです。差別ネタを口にしても、嫌味にならない。軽快で運動神経良さそうなところも、今後が楽しみな逸材です。
はなっから大作、名作を作る気などなく、佳作、「笑える、ちょっといい話」を狙って、きちんとそのようにした手堅さと分のわきまえ方。そしてラストのあっさり風味と小さな幸福感も、嫌いにはなれない所ですよねえ。
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