「綱引いちゃった!」:ベタなのにこの結末じゃダメじゃん
映画『綱引いちゃった!』は、数限りなく映画やテレビで繰り返されてきた「ダメダメ寄せ集め軍団+クセありコーチの、逆境乗り越え変身急成長の一大カタルシス感動ドラマ」=『がんばれ!ベアーズ』の末裔たち、に名を連ねるはずだったのですが・・・、なぜかそうはなれませんでした。
大分県PR映画の側面もあるのでしょうか(それにしちゃあ市長が悪人だし、やけに何もない所みたいに描かれてますが)。とにかくベタに古典的娯楽映画の常套をなぞっていきます。多くの人が「これならオレ(私)にも書ける、いやもっと上手に」と思いそうな脚本。序盤の話は、急ピッチにルーティーン通り進んでいきます。窮地に追い込まれたダメダメ軍団がしぶしぶ競技への参加を承諾→でも一向にやる気にならない→練習試合で案の定ボロ負け→そのうち内紛も起き、チームの雰囲気は最悪に→とある事件をきっかけに、やる気になる→にわか猛練習で、めきめき進歩→ここでもう一波乱→そんなこんなを飲み込んで、いよいよ大勝負→奇跡的に勝つ、もしくは勝たなくてもメンバーが別のなにかを手に入れて大きく成長する。ねっ、簡単でしょ。、『ベアーズ』以外でも、本作のタイトルのもととなったであろう『シコふんじゃった』はもとより、『ロンゲスト・ヤード』から『もしドラ』まで邦洋を問わず不滅のパターンなのです。スポーツ以外でも『スウィング・ガールズ』だって『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』だって、そうですもんね。
(以下ネタバレあり) だけど本作ではクライマックスがクライマックスになっていかないんです。明らかに相手チームの方が強そう。でも、そこから盛り返して、勝つのかな・・・ってとこで終わっちゃいます。ここまで通俗の極みで作ってるんだから、そこは勝つにしても負けるにしても、ちゃんと決着つけなきゃ、絵で見せなきゃダメでしょ。それに、巻き返しのもととなったのがメンバーの一人の(血がつながってなくて折り合いの悪かった)息子の「お母さん、がんばれ!」の声援だってのが、うーん、かなり恥ずかしいですね。
あれっ?っていう尻切れほったらかしのエンディングで、もろもろの問題は解決せず、すべてとっちらかったまま。でもいいでしょ、私たちには仲間がいて達成感があるから・・・ってんじゃあ、クライマックスもカタルシスもあったもんじゃありませんよねえ。
井上真央は今までの彼女よりも良かったと思いますが、最後まで手足が細くてねえ。これじゃあ綱引きでは勝てんでしょう。 コーチ役の玉山鉄二はちょっと前まで「水もしたたるいい男」だと思ってたら、本作ではキャラも外見もかなりカッコ悪いです。見事に田舎の垢抜けなさが漂ってます(見事な芝居ってこと?)。 そして渡辺直美は才能あるコメディエンヌだと感じました。彼女の主演作を見てみたいぐらいです。
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