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2012年12月 1日 (土)

「ふがいない僕は空を見た」:それでも生きていく

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映画『ふがいない僕は空を見た』は、都内単館公開。なんと2時間22分もありますが、無駄に長いとは思いませんでした。タナダユキ流に屈折しながら、今という時代がしっかりここにあります。 それにしてもR-18指定なんですけど、そこまでエロいとは思えませんねえ。

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脚本は山下敦弘とのコンビでならした向井康介(原作は窪美澄の小節)。コスプレ、年の差恋愛、不妊、痴呆症、自然分娩信仰などなど、多くの現代的問題を語ります。そのベースとなっているのは、“Nobody's perfect.”という思想に思えます。誰もが満たされず、誰もが心の闇をかかえながらも、必死に厄介事と対峙して生きているのです。そこらがタナダユキさんの世界とシンクロして、この作品を生かしました。

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(以下ややネタバレあり)  「あいつの人生終わったな」と言われてしまった斉藤くん(永山絢斗)にとっては、まさかの展開だったことでしょう。もしかしたら誰の人生にも、罠や落とし穴が待ち構えているのかもしれません。斉藤君は、それでも生きていかなければならないのです、あなたや私と同じように。 それゆえに、ラストの出産が微かな希望のニュアンスを帯びることが嬉しいのです。

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斉藤君のお母さん役の原田美枝子が、とてもいい味の好演でした。『ヘルター・スケルター』でもクールに素晴らしかったのですが、本作の助産師さんのプロフェッショナリズムと母親の心とが、さっぱりさらさらとしたトーンの芝居の中に深い印象を与えます。 彼女と組む助産師「みっちゃん先生」役の梶原阿貴も良かったですねえ。彼女の舌打ち、最高でした。注目したい役者です。 そして田畑智子の姑役の銀粉蝶さんが、こわかったなあ。ほとんどホラーです。

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» ふがいない僕は空を見た・・・・・評価額1650円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
産まれて、生きて、そこにいる。 山本周五郎賞に輝いた窪美澄の同名小説を、「百万円と苦虫女」のタナダユキ監督が映画化。 不妊に悩む孤独な主婦は、高校生との危険な情事に溺れ、やがて物語は彼らの周り...... [続きを読む]

受信: 2012年12月 2日 (日) 00時56分

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