「砂漠でサーモン・フィッシング」:ロマン溢れる砂漠の男
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』は、いかにも良質のアメリカ映画らしき造りで、手だれの良質職人ラッセ・ハルストレムが監督しました。結果、米国内での映画賞にノミネートされたりしているようですが・・・、うーん、完全に「良質」な作品とは行きませんでしたね。
序盤の導入はテンポもよく快調だったのですが、中盤以降映画の進行がちょっともったりとしました。いちいちカットが長過ぎる、とかね。 まあ、砂漠の国に水がある風景なども映画的に素敵な眺めなのですが、本作の最大の美点は、イエメンの大富豪シャイフに扮したアマール・ワケドの人間的魅力でしょう。清々しさと夢と希望と自信と行動力と知性と話術と容姿に恵まれていて、嫌味を感じさせない。それは行いに「ロマン」があるからなのでしょうね。大したものです。理想の男ですね。このキャラクターと役者の魅力が、本作の魅力の大きな部分を占めています。
それに対比させるヒール的役柄の腹黒い首相広報担当官としてクリスティン・スコット・トーマス。彼女のワルモノ芝居で、映画にふくらみと笑いの余裕が出たことも事実です。 ついでながら、本作のユアン・マクレガーは妙に関根勤そっくりでありました(ハリソン・フォードも少々入ってましたが)。
(以下ネタバレあり) でも肝腎のラブ・ストーリー部分が、今一つな出来でして・・・。特に最後に鮭1匹のジャンプで、ヒロインの気持ちがコロリと変わっちゃうのってどうよ。あまりと言えばあまりの急変に、元恋人ならずとも「そりゃないだろ」と、あいた口がふさがらないのでありました。
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コメント
違うんですよ〜 たった一言で恋って冷めてしまうんですよ〜(汗)をそこを物凄くわかり易く表現している点で、私はこの映画を高く評価しております。
投稿: onscreen | 2013年1月 3日 (木) 20時46分
onscreenさん、そうなんですか。
うーん、大江戸はこどもだから(?)わからなかったのです、そこらへん。
投稿: 大江戸時夫 | 2013年1月 3日 (木) 21時50分