「ダイ・ハード ラスト・デイ」:派手だが効かない
シリーズ第5弾『ダイ・ハード ラスト・デイ』は、異例ともいえる1時間38分の短尺。普通のアクション何本分ものアイディアを詰め込んだ『ダイ・ハード』らしさがそこには無く、話がトントン過ぎるぐらいに直線的に進行します。
普通に考えれば、ブルース・ウィリスから息子役にここでバトン・タッチして、二代目バージョンの『ダイ・ハード』シリーズを今後30年作れるぜってところなのです。しかーし、マクレーンの息子が『アウトロー』の悪役なので、随分とワルモノの印象。頭も良くなさそうな顔だし、これでは一人立ちは難しいでしょう。
それにしてもシリーズは下降線の一途ですねえ。大傑作だった1作目は演出もさることながら、とにかく脚本がよく出来ていました。ところが本作は、うーん、他のアクション映画のホンと(ほとんど)入れ替え可能じゃん? 工夫ゼロではないけれど、このシリーズに名を連ねるためには、ホンの磨き方が足りないですよ。
モスクワの公道を使った派手すぎるカーチェイスだとか、撃ちまくりこわしまくりのガンアクションだとか、ヘリコプターを使ったクライマックスだとか、まあアクション描写の凄さに関しては、確かに大したものです。でも、その前提のドラマが大したことないもんだから、効いてこないのです。重量感が出ないのです。やはりドラマ部分が最高に面白くってこその『ダイ・ハード』シリーズだよなあと思います。
マクレーンも前作からは「いくら撃たれても当たらない、高い所から落ちても死なない」奴になっちゃってますから、何の緊張感もありません。割れたガラスを踏んで、ひいひい言いながら刺さった破片を抜き取っていた第1作のリアルな生身さが忘れられません。あーあ、『エクスペンダブルズ』じゃないんだから。
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