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2013年2月10日 (日)

「二郎は鮨の夢を見る」:背筋の伸びる真摯さ

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映画『二郎は鮨の夢を見る』は、かのミシュラン三つ星に輝く「すきやばし次郎」、中でもこの店を築き上げた小野二郎さんを描いた82分のドキュメンタリー。見事です! 端正な映画自体も素晴らしいのですが、このお店と、そしてこの二郎さんに圧倒されます。

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序盤に示される「おひとり様3万円から」という価格にまずビビらされます。しかも早い人は15分ぐらいで(20貫ほどを)食べてしまうってんですから、山本益博さんが「世界のどこにもこんな店はない」と言う通りです。それでも「みんな満足する」「誰一人として後悔しない」って言うのですから、本当に大したものです。

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それもこの映画を観ていると、素直に納得できます。出てくる寿司の1貫1貫が芸術品のような美しさを持って輝いていますし、それと共に二郎さんや息子さんの鮨にかける真摯な姿勢に打たれるのです。撮影時85歳ながら昼も夜も規則正しく店に立ち続けるという二郎さんの背筋の伸び方! この名人にしてなお「ロブションの繊細な舌と鼻がうらやましい」と語る、その果てなき向上心!  長男禎一さんの(広報担当的な)言葉の力と難しいポジションをこなす人間力も立派です。

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音楽にはクラシックとフィリップ・グラスが使われていますが、グラスが見事にこの映像とマッチしているのです。『コヤニスカッティ』の如く、マクロにミクロに、一瞬と永遠を往き来して、鮨と職人の宇宙を表現しています。

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映画の終わり頃には、「一人前3万円から」ということでも清水の舞台から飛び降りたつもりで、一生のうちには一度くらい食べてみたいという気持ちになりました。ただ、一方では「自分はこの鮨に見合う人間なのか」「まだこの鮨に負けているのでは」と問いかける自分もいて、まあそれほどまでに難しく、かつ姿勢を正さざるを得ない鮨屋なのであります。でも批判はあるかも知れないけれど、こういう店もあっていい。そういうことです。

映画自体のデザイン的センスの良さも、シンプル&ソリッドに美しく(白地に黒文字のエンドタイトルを含め)、本物です。

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