「草原の椅子」:何の映画?謎の企画
映画『草原の椅子』は、東映のプログラムの中でよくこんな企画が通ったよなって感じ。いや、どこの配給や興行であろうとも、ここまで地味な映画は今日び(いや、昔っから?)難しいでしょう。案の定、興業的には苦戦の模様。「どういう映画?」と問われて、一言二言でまとめられないのがイタイところです。
どうも日本映画界の名プロデューサー原正人さんが80歳を超えて最後の作品として作りたかった企画のようです。原さんのラストならってことで、みんな協力しちゃったんでしょうね。でもやっぱり「なぜ今こんな映画?」という根本の謎は解決されませんし、企画として弱いです。キャストもむしろ魅力薄ですし、そもそもこのタイトルの意味が(少なくとも映画を観ているだけでは)わかりません。
基本的には応援したいんですよ。大人の映画だし、善意の映画だし、ほんのりとポジティブな映画だし・・・。 でも、意外なほど浅くて。原作のせいかもしれませんが、エピソードが類型的で、意外性や深みがない、もしくは唐突過ぎるので、なんだか切実な気がしません。役者陣もごく普通の演技で、そこらへんの穴をカバーできてはいないのです。
唯一小池栄子だけは凄かったですねえ。やり過ぎとのギリギリのライン。最初登場した場面では、あまりにも焦燥したすっぴんだったので、彼女とはわからなかったぐらい。今、狂気を演じさせたら日本一になっていましたね、いつのまにか。邦画史上でも極めて珍しい、女性の怪優のポジションを固めております。 あと地味ながら、黒木華もなかなか良かったですよ。
いろいろあるけれど、こういう大人の映画を作るというチャレンジは、途絶えないで欲しいと願います。
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