「暗闇から手をのばせ」:着眼点の勝利
映画『暗闇から手をのばせ』は、NHKでドキュメンタリー等を手掛ける戸田幸宏監督が、ボツになったドキュメンタリー企画を劇映画として自前で制作した作品。障害者専門の性風俗というネタの着眼点で、ほとんど勝っちゃってます。
「18歳以上の在宅身障者が全国に348万人いる」という台詞がありますが、驚くべき数字ですね。そこらへんのリサーチも生きて、本作はリアルな現代性を獲得しました。 そしてマネージャー役の津田寛治が、しっかりと画面を引き締めています。そのおかげで経験の浅い小泉麻耶も、いい感じの「味」を醸し出すことができています。
時々カットつなぎが不自然なところや紋切り型が気になりますが、全体的には戸田監督、悪くない仕事です。
(以下ややネタバレあり) しかしながら車椅子が海に落ちる場面からその後の件りにかけては、かなり雑。 「え?朝日見てすべて解決かよ?!」って感じでした。
でも終盤のピュアな感じがけっこう美しいので、嫌いにはなれないですね。きれいごとだとしてもね。 ラストの「こんにちは」なんて、森田芳光『(ハル)』のラストの「はじめまして」を連想してしまいましたもん。
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