「ペタル ダンス」:観ることの至福
映画『ペタル ダンス』は、石川寛7年ぶりの新作。市川準なき今、大江戸の一番好きな映画監督です。『tokyo.sora』や『好きだ、』を愛する小生としては、当然大大期待作です。
今回の映像は徹底的に濁ったグレイの曇り空トーン。でもそれが、なぜこんなに気持ち良く、人を癒す映像なのでしょう。まさに石川マジックです。映像を観ることの眼福がここにあります。
何が起こるでもない物語、というか切り取られた人生の中の時間。それがリアルに、日常生活の中のダイアローグそのままに、目の前の景色として流れていく。でも、その中に何か貴いものが含まれているんです。こんな表現から、そんなニュアンスが生み出せるって、まさに「これぞ映画」ではありませんか!
宮﨑あおい、怱那汐里、安藤サクラ、吹石一恵の4人が4人とも、他の監督の映画では出て来ない「別の顔」を見せてくれます。 4人ともよくはきこんだデニム。でも、それぞれに表情が違うんです。素晴らしいなあ。
(以下ネタバレあり) 最後の方の宮﨑と吹石の会話で、「ごめんね、何もしてあげられなくて。」「大丈夫、いっぱいもらった。」(ちゃんと覚えてないので、ちょっと違ってるかも知れません)ってのが、この作品のさりげないクライマックス。逆光の映像の中、鳥肌ものの素晴らしさでした!
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