「舟を編む」:仕事×年月=感動
映画『舟を編む』は小生にしては珍しく原作を先に読んでいたのですが、良い映画化でした。原作を損なうことなく、しかも映画のオリジナリティーもちょっとだけ出しながら、きちんとまとめました。しかも映像化したことで生まれた「強度」もあり、理想的な映画化と言えるでしょう。 これで、細部をもっと丁寧にやろうってことでしたら、TVの連ドラ化もアリだと思います。
石井裕也監督の作品では主演の役者がいい味出すんですけど、本作でも松田龍平が生かされています。今までのどんな龍平よりも良いぐらいです。極端な役柄と言えますけれど、翔太にも優作にも出せない、龍平ならではの味です。
「本屋大賞」原作女優(「神様のカルテ」「天地明察」そしてコレ)の宮崎あおいは、いつものあおいちゃんでした。原作のイメージは、もっと男っぽく凛とした感じなのですが、まあ映画ですから。
むしろ意外なほど良かったのが、オダギリジョー。彼のエキセントリックさを封じた等身大の「いいやつ」感がたまんないです。原作の西岡よりも素敵なキャラクターになりました。
仕事のこだわりや矜持などのプロフェッショナリズムを描いた作品には目のない大江戸なので、本作も描写が具体的になるほど引き込まれました。そして後半は数か所で落涙しました。「仕事に賭ける執念」とか「仕事冥利」的な描写に弱いんですよ。年月の重さという調味料まで、よく効いてますんで・・・。
大変ウェルメイドな作品で、堅実ながらじわりとコミカルな感覚もあり、山田洋次が褒めているのもむべなるかなでありますが、ラストが決まり損なったというか、ちょっと物足りない。そこが少しだけ残念です。
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» 『舟を編む』(2013) [【徒然なるままに・・・】]
2012年の本屋大賞第1位に輝いた三浦しをんの『舟を編む』の映画化作品。特に大きな事件が起きるわけでもない淡々とした展開で、映像化には不向きじゃないかなと思っていたのだけれども、見応えのある素敵な作品になってました。
原作より集約されたキャラクター、逆に膨らまされているキャラクターがいたり、細部に亘って違いはあるものの、なかなか良心的な映画化だったと思います。
原作小説では時代設定や時間経過がぼかされている部分がありますが、この映画では発端が1995年、そしてラストが2010年できっちりと1... [続きを読む]
受信: 2013年4月16日 (火) 06時22分
» 映画レビュー「舟を編む」 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評]
映画 舟を編む オリジナル・サウンドトラック [CD]◆プチレビュー◆辞書作りに携わる人々の静かな情熱を描く「舟を編む」。抑制したタッチが好感度大。 【70点】 玄武書房に勤務 ... [続きを読む]
受信: 2013年4月16日 (火) 09時30分
» 舟を編む [Akira's VOICE]
大渡海めっちゃ欲しい。
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受信: 2013年4月16日 (火) 10時19分
» 舟を編む〜言葉の光と影 [佐藤秀の徒然幻視録]
「右」の意味と言葉の観覧車的性質
公式サイト。三浦しをん原作、石井裕也監督、松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、小林薫、加藤剛、黒木華、渡辺美佐子、池脇千鶴、鶴見辰 ... [続きを読む]
受信: 2013年4月16日 (火) 11時24分
» 【舟を編む】繋がりを編む人 『映画@見取り八段』 [映画@見取り八段]
舟を編む
監督: 石井裕也
出演: 松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー… [続きを読む]
受信: 2013年4月17日 (水) 00時38分
» 舟を編む ★★★☆☆ [センタのダイアリー]
言葉は思考であるという考え方に基づく記号論があるように、言葉の世界は果てしなく広く深い。
言うならば、ことばは人間の活動全てであると言っても過言ではない。
また、言葉は新たに生まれ又は死んで...... [続きを読む]
受信: 2013年4月17日 (水) 21時38分
» 映画「舟を編む」 [FREE TIME]
映画「舟を編む」を鑑賞しました。 [続きを読む]
受信: 2013年4月18日 (木) 00時32分
» 『舟を編む』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「舟を編む」 □監督 石井裕也□脚本 渡辺謙作□原作 三浦しをん□キャスト 松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、小林 薫、加藤 剛、 渡辺美佐子、黒木華、池脇千鶴、鶴見辰吾、伊佐山ひろ子、八千草 薫■鑑賞日 4月13日...... [続きを読む]
受信: 2013年4月18日 (木) 12時31分
» 舟を編む [勝手に映画評]
なるほど、こうきますか。
馬締が、松田龍平と聞いた時は「どうかな〜」と思いましたが、中々どうして。結構いい仕上がりになっていますね。さすがです。
凛とした美しさを持つ女性には、やっぱり宮崎あおいは外せないですよねぇ。ただ、「自分、不器用ですから」と言い...... [続きを読む]
受信: 2013年4月18日 (木) 22時26分
» 「舟を編む」 大海を渡る拠り所 [はらやんの映画徒然草]
言葉は海。 それは海の如く広く大きい。 ずっとそこにじっとあるように見えるけれど [続きを読む]
受信: 2013年4月19日 (金) 00時03分
» 舟を編む [にきログ]
さて、お久しぶりの映画感想ですね
こちら三浦しをんさんの小説原作の映画化ですね
ほぼあらすじも知らずに見た映画です
個人的には私は前情報を入れすぎると余計な先入観が入るので何も知らずに見るほうが...... [続きを読む]
受信: 2013年4月20日 (土) 22時42分
» 映画 舟を編む [こみち]
JUGEMテーマ:映画館で観た映画nbsp;
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冒頭は凄く地味なストーリー。
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西岡正志と三好麗美のことがなければ
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平凡すぎて飽きてしまうくらい地味だった。
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中盤から後半は、辞書製作の苦労を現しているかのように
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年代が飛ぶが、林香具矢役の宮崎あおいのメイクが
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若い頃から中年になると髪が... [続きを読む]
受信: 2013年4月20日 (土) 23時15分
» 舟を編む [だらだら無気力ブログ!]
辞書作りって大変なんだな。 [続きを読む]
受信: 2013年4月21日 (日) 02時12分
» 映画「舟を編む」感想 [タナウツネット雑記ブログ]
映画「舟を編む」観に行ってきました。2012年本屋大賞に輝いた三浦しをん原作の同名小説を、松田龍平・宮崎あおい主演で実写化した作品。物語の始まりは1995年。出版社の玄... [続きを読む]
受信: 2013年4月23日 (火) 23時00分
» 舟を編む [映画的・絵画的・音楽的]
『舟を編む』を渋谷のシネパレスで見ました。
(1)昨年の本屋大賞を受賞した際に原作本〔三浦しをん著『舟を編む』(光文社)〕を読んだことから、本作にも興味が湧いて映画館に出かけてみました。
本作の最初の方の時代は1995年、舞台は出版社・玄武書房の辞書編集...... [続きを読む]
受信: 2013年4月24日 (水) 22時00分
» 映画「舟を編む」仕事に何を求めるのか [soramove]
映画「舟を編む」★★★★
松田龍平、宮崎あおい
オダギリジョー、黒木華 出演
石井裕也監督、
134分、2013年4月13日より全国公開
2012,中国,角川映画
(原題/原作:舟を編む/三浦しおん)
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書籍「舟を編む」好きこそ... [続きを読む]
受信: 2013年4月30日 (火) 07時53分
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