「ヒッチコック」:似てないし、ぬるいし・・・
映画『ヒッチコック』で、アルフレッド・ヒッチコックを演じるのはアンソニー・ホプキンス。うーむ、ニクソンにピカソにヒッチコックですか・・・。顔が似てなくても、骨格が違っても、なんでもやるんですね。ただ特殊メイクの効果もあり、横顔はやや似ているので、本作でも横向きのショットを多用しています(ヒッチコックと言えば、あの横向きのシルエットですもんね)。そういえば『リンカーン』でもダニエル・デイ=ルイスの横顔ショットがやけに多かったですよね。
作品全体は「ぬるい」印象。もっとヒッチコックの変態的ダークサイドに踏み入ってもらいたかったところです。強引に「夫婦愛」の物語に仕立てて、めでたしめでたしなんて・・・ちょっと違うなあ。 (妻)アルマの描き方も、ちょっと中途半端な感がありますし。 どちらも現実とフィクションの間の難しさや、関係者が生存していることによる難しさってのがあるんでしょうねえ。
『サイコ』制作の舞台裏ばなしなのですが、それ自体の面白さはまあ中ぐらい。宣伝戦略やらのあれこれやら、劇場プレビューにおける観客の反応を楽しむヒッチってあたりが、本作のハイライトでしょう。そこは面白かったです。
スカーレット・ヨハンソン(『キネ旬』流に表記すると「ジョハンソン」ですが)がジャネット・リーを演じたのはナイス! 彼女は非常に往年のハリウッド女優の雰囲気を持っていますから。そして彼女の絶妙の妖艶さは、ヒッチコックが生きていたら間違いなく彼女を使っただろうと思わせるに十分なものがありますから(ブロンドであろうとなかろうと)。
エド・ゲインまで持ち出したのは、ちょっとやり過ぎ。成功してません。 結局は、脚本の出来が全体的によろしくないってことなんだと思います。
ちなみに小生のヒッチコックベスト5は・・・
1.ハリーの災難 2.サイコ 3.見知らぬ乗客 4.めまい 5.白い恐怖 ってところでしょうか。
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