「リアル 完全なる首長竜の日」:黒沢×アイドル娯楽映画=(‘jjj’)
映画『リアル 完全なる首長竜の日』は、黒沢清が東宝のメジャー娯楽作を手がけるってことがオドロキなのですが、ん?それって・・・。あ、’89年の『スウィートホーム』がそうだったじゃないですかあぁ。以来四半世紀近くたって、独自の作風で「世界のクロサワ」になって、またこんな日が来ようとは! しかしながら、『スウィートホーム』は娯楽映画として、いや、映画として破綻していただけに、本作にも心配が・・・。
果たして、心配した通りに困ったちゃんな作品でした。何か佐藤健&綾瀬はるか主演の娯楽映画として間違ってる感じがしてなりませんし、そうかと言ってアート・フィルムのわけもなく、非常に宙ぶらりんな感じ。いずれにせよ、おそろしくテンポが悪いことは確かです。そのゆったりリズムの中から何かが立ち上がってくればいいのですが、そんなこともなく・・・。
いかにも黒沢清的な不安感、居心地の悪い違和感が随所に登場しますが、それを見せるならやっぱり小品の方が効きますよね。 (以下ネタバレあり) それなのに、首長竜が出てきて大暴れとあっては、「な、何なんだ?この映画」と戸惑うほかはなく、ミスマッチな失敗作として今後のトンデモ映画史に名を残すことは疑う余地がありません。だって、「超時空的に大山鳴動して子供のヤキモチ」ってな話なんだもん。
中谷<叫び>美紀とか小泉<トウキョウソナタ>今日子とか松重<地獄の警備員>豊とかオダギリ<アカルイミライ>ジョーとか、「黒沢組」の役者たちは、それぞれいい味を出しています。特に小泉さんは、同じ母親でも『あまちゃん』のヤンママとあまりに違う穏やかさなので、我が目を疑うほどでした(じぇじぇ!)。
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