「スタンリーのお弁当箱」:何なんだ、この先生は?!
映画『スタンリーのお弁当箱』はインド映画異例の、なんと96分の小品! 子供たちが生き生きとした佳品ではありますが、一方では不満や突っ込み所も満載の珍妙なる一品です。
話はとてもシンプルで、それこそ土門拳の名作写真集『筑豊のこどもたち』を思わせるものです。あの写真集は日本がまだ貧しかった戦後の筑豊で、お弁当を持って来れない生徒がお弁当の時間なのにマンガを読んで過ごしているといった光景を写し取っており、本作もそれと似ているなあと思うことしきりでした。
それにしても物語のキーとなる「いやしいいやしいお弁当おねだり教師」に心底あきれてしまいます。何なんでしょう、この人は? いくらなんでも、ほとんど「ありえねー!」の世界です。こんなこと続けていたら、いくらなんでも問題になるでしょう。しかもスタンリーを恫喝する言葉の「自分の棚上げぶり」とかが笑えるほどスゴイですね。彼の存在自体もそうですし、いろんな所で「ありえねー」と思ってしまいます。そこを強引に突き進むのが、インド映画のパワーなのでしょうか?
インド映画なのに「普通の」映画になっていて、ある種の驚きなのですが、一方では挿入歌があまりにも説明的になり過ぎていて、違和感たっぷり。そこで起こっていることや心情を歌詞にして、あまりに説明的に歌い上げるもので、ちょっと困惑してしまいます。
後から知ったのですが、あのいやしいサイテー教師が、スタンリー君の実の父親であり、この映画の監督でもあるんですって! こりゃビックリ! インド人にビックリ!
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