「シャニダールの花」:花の狂気をもっと
映画『シャニダールの花』は、石井總互が石井岳龍に名前を替えてからの映画2作目。静謐でスタイリッシュですが、それだけに眠くなって困りました。
勢いづいている綾野剛も、「らしく」魅力を放っていますが、むしろ黒木華が良い役者っぷりで驚きました。淡々と飾らず地味なのに、変な味を放散しています。そして古舘寛治が、実力全開の脇芝居。クセ者感たっぷりに、お見事です。
今年前半にWOWOWで放映していた『ネオ・ウルトラQ』でも石井監督が何本か撮っていましたが、まさにあの感じ。あの世界の拡大版です。スタイリッシュ過ぎてあまり面白くなくないところまで、そっくりです。ラストのああいう感じもそっくりです。
いろんな種類の花のクロースアップが篇中に出てきます。そのなまめかしさと毒。ジョージア・オキーフから荒木経惟まで、花はエロスとタナトスの象徴ですが、本作においても「花」の持つ生と死のエネルギーは作品の基調となりかけていました。でも、どうせなら、石井なら、もっと狂って欲しかったところです。もっと花の狂気を!
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