「エリジウム」:骨抜き・手抜きのブロムカンプ
映画『エリジウム』は、西暦2154年を舞台にしたSF。監督は『第9地区』が過大評価された(と小生は思っています)ニール・ブロムカンプ。 今回は予算アップして、マット・デイモン、ジョディ・フォスターを使ったハリウッド映画として勝負を賭けます。
でもね、肝腎の二人が全然良くないの。ジョディは、いちおう敵役なんですけど、あまり憎たらしくもないし、印象はかなり薄いですね。そもそもジョディと「純粋な娯楽作」ってのは常に相性が悪くって、過去にも『マーヴェリック』とか『アンナと王様』とかの失敗例が浮かびます。本作でも特に演技の見せどころもなく、口元のシワが妙に目立つお年頃になってしまいました。
一方のマット・デイモンはただでさえ「ジミー大西」呼ばわりされていて、カッコ良くないのに、スキンヘッドにしちゃったら、もうほとんど誰だか分りません。悲しいほどのノーバディ顔です。マットの代わりにそこらのあんちゃんが演じていても、エキストラがやってても、大勢に影響はないでしょう。スキンヘッドのせいか、年齢だって見ようによっては5-60歳にも見えるし・・・。
スラム街の昼景の中での飛行ヴィークルとかには、『第9地区』を思わせるものがありますね。そこらや円環型宇宙ステーション状のエリジウムを描くVFXはなかなか優秀なのですが、それ以外には「金かけてない」ってゆーか、労力使ってません。つまり、衣装や美術や建物やインテリアが、現代そのまんまだったりするのです! 主人公もグレーの半袖Tシャツにブルージーンズだし、スーツやシャツやタイが普通に今のもの。そこらの「開き直り」を許す気にはちょっとなれません。せめてジョディの腕に着けた通信デバイスが「ブルガリ」だったりする程度の工夫を、もっともっと見せてくれないと・・・。
ストーリーも設定ももろもろ甘くゆるく出来ていて、全体的に「ずさん」な印象。バトル・シーンも、ありきたりな感じです。 前作ではあれだけメッセージ性を打ち出していた監督が、骨抜きになっちゃって・・・と考えるしかありませんでした。
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