「人類資金」:題材と監督のミスマッチ
映画『人類資金』を試写会で観ました。かのM資金を題材とした阪本順二順治監督×福井晴敏原作の意欲作。だがしかし、同コンビの『亡国のイージス』の時にも思いましたが、阪本さんって、エンタテインメントをきちんと職人的に撮れる監督とは違いますからねえ。この二人って、ミスマッチだと思います。
現代史を縦横に世界的規模でぐいぐいエンタテインメントにするようでいて、結局「ヒューマニティー」全開の、ちょっと理想的過ぎるクライマックスになってしまいました。この発展途上国への、特に子供たちへのヒューマンな思いは、阪本が『闇の子供たち』で自分のテーマにしたものなのでしょうけれど、なんだか本作のトーンの中では急に説経臭く青臭くなってしまい、映画として弱いんです。森山未來のスピーチは熱演ですが、映画のこの流れの中では、絵空事に見えてしまうのです。
阪本監督は昔から、人物のフルショット(全身サイズ)多用、≒アップの少なさ&カット割りの少なさ、定石通りに物語を滑らかに語らない姿勢、あえて結末を一般的な面白さに落としこまない姿勢など、一般的な娯楽映画とは異なる持ち味の人でありまして(しかも意外やアクションを撮るのがうまくない)、大江戸とは相性が悪いのです。今回もその例に漏れませんでした。
『座頭市』で阪本監督と組んだ香取慎吾が重要な役で出ていますが、バカにしてたら、これが意外と良かったのです。ああ、大人になったなあ慎吾くん。抑制が効いた芝居の中から滲み出てくるものが、ちゃんとありました。 あとは相変わらず軽味が素晴らしいオダギリジョー、なぜにあなたが出演?って感じのヴィンセント・ギャロも悪くありませんでした。佐藤浩市は、あの「駅前」(観ればわかる)が突然のギャグでサイコーでした。
ま、ツッコミ所の多い映画でもあります。ことにニューヨークにおいて。 エンドタイトルの後にオマケがついとりますが、ま、そう大したものでもありませんでしたね。
うーん、やっぱりこの作品なら、もっと力技でぐいぐい押しまくる監督--オリバー・ストーンみたいな人--が適任だったろうなーと思う大江戸なのでした。今の日本映画界って、そういう人いないんですよねー。せいぜい娯楽職人の本広克行あたりかなあ。
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