松屋の池波正太郎展
松屋銀座で『生誕90年 池波正太郎展』(~9/9)を見ました。池波の生涯とその業績を追っていきますが、『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の3作を中心に置いた構成です。
その名とは裏腹に時代小説にはあまり馴染みのない大江戸でございまして、それでもこの3作ならTVや映画を通して、ちょっとだけは知っています。しかしながら、いつも思うのですが文学関係の展覧会は難しいですね。メインの展示物が(地味な)原稿だったりするわけですから。パソコンで書く作家の時代になったら、ますます難しくなりますね。なので、会場内に書斎を再現したり、壁一面にしつらえた棚に上から下までびっしりと並べられた580冊以上の著作などで、工夫しています。また池波さんの場合はご本人が描いた挿し絵やスケッチなども展示できるのが強みで、相当数が出品されていました。
映像に関しては、個人的には松竹で五社英雄監督が映画化した『雲霧仁左衛門』や『闇の狩人』あたりも欲しかったところ。「食」や「おしゃれ」や「映画」に関する部分も一応の展示はありますが、池波さんのそういうエッセイスト部分が大好きな小生としては、もうちょっと広げて欲しかったところです。
そう、小生は『むかしの味』『食卓の情景』『ル・パスタン』『日曜日の万年筆』『銀座日記』『散歩のとき何か食べたくなって』などの池波エッセイが大好きなのです。食のこと、東京のこと、生き方のことなど、氏ならではの粋と頑固さとダンディズムと審美眼がたまりません。『男の作法』はある種のバイブルとして、何度も繰り返し読んでおります。繰り返し読むに堪える本です。まあ、影響されてその通りにやったり、なかなか書かれているようにはできなかったりしてるんですけどね。
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