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2013年10月19日 (土)

「くじけないで」:スローテンポで松竹的で

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映画『くじけないで』を試写会で観ました。あの柴田トヨさんのベストセラーを映画化というと不正確ですね。ベストセラーにインスパイアされて、柴田トヨさんの生涯と、その家族を描いた作品。近来まれに見るほど松竹映画らしい作品です。

八千草薫さんも、この年になって主演映画を作ってもらえるとは思わなかったかも知れませんね。海外では『八月の鯨』から『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』や『クロワッサンで朝食を』まで、おばあちゃん映画ってかなり多いんですけど、日本ではあまり見受けられませんから。でも、高齢者人口の増加や、映画ファンの高齢化などを考えると、これからは日本でも有望な題材かも知れません。

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それにしても武田鉄矢演じるトヨさんの息子が、いくつになってもダメダメなバカ息子として描かれていて、それなのにエンドタイトルバックに実写が出てくるもんで、よくこの人は映画化をOKしたなあと思った大江戸でした。ただ、チラシにこの息子さんが「八千草薫の大ファンで、主演に決まって大喜び」とか書いてあったので、それ以外のことはどうでもいいと思ったのかしらん。

深川栄洋監督が脚本も書いているのですが、ただでさえじっくり過ぎるほどに芝居を長く撮る監督なのに、「監督が脚本まで書くと、切ることができずに全部撮るので、映画が長くテンポが悪くなる」という一般論と合わさって、確かにテンポはのろいです。映画自体が「お年寄り」のようにスローなのです。隣の席のおばあちゃんは何度も寝ちゃってました。2時間8分の作品ですが、あと20分ぐらいはつまめる作品のように思えます。ま、芝居をじっくり撮ってくれるので、出ている役者としては支持したい監督なのかも知れませんけどね。 エンディングもなんかしまらない感じでした。

あとピエール滝が出ていたのですが、『凶悪』を観た後だったので、今にも自分の娘や武田鉄矢を殺しちゃいそうで、気が気じゃなかったです(寿司屋に転身するようには思えなかったけど)。

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» くじけないで [象のロケット]
ひとり暮らしをしていたトヨは、90歳を過ぎてから息子に勧められ、詩を書き始めた。 何でもない日常、自らの老いを見つめるユーモラスな視線や懐かしい少女時代の記憶。 その一つ一つを言葉に置き換えていく中で、トヨは明治から平成までを駆け抜けてきた人生を振り返っていく…。 ヒューマンドラマ。... [続きを読む]

受信: 2013年10月24日 (木) 04時39分

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