「ムード・インディゴ うたかたの日々」:驚異の映像玉手箱!
映画『ムード・インディゴ うたかたの日々』は、予告編を見た段階ではここまで奇想天外なやりたい放題の作品とは思えませんでした。良い意味でのオドロキでした。この夢のような、シュールでポップな映像イマジネーションの世界。ミシェル・ゴンドリー監督の作家性で埋め尽くされた驚異の映像玉手箱。大好きです!
ちなみに131分のディレクターズ・カット版を観たのですが、95分のインターナショナル版とは36分も違うだけに、どこが増えているのかが気になるところ。
原作未読の大江戸ですが、なんと結構「原作に忠実」な映像なのだとか! うーむ、そうなんですか。でも、ゴンドリー監督のことだから、さらにその上を行ってるに違いありません。この細部までのヘンテコな遊び方ときたら! 愛すべきおちゃめさかげんですね。妙にグロテスクな味もあったりして。
この世界にオドレイ・トトゥとロマン・デュリスの二人がとてもマッチしています。オマール・シーやその他の仲間たちも。こんな人工世界の中なのに、キャラクターが命を輝かせているのです。
でも終盤になって、いろいろ映像をいじる予算を使い果たしてしまったのでは?と勘繰りたくなるほど失速してしまったモノクロ映像のパートが、なんとも残念。急にトーンが落ちてしまい、作品としての全体バランスを欠いてしまいました。
そういえば利重剛監督の『クロエ』(ともさかりえ、永瀬正敏主演)もこの原作の日本への自由な翻案で、良い作品に仕上がっていましたね。
いずれにしてもミシェル・ゴンドリーという天才的ビジュアリストの実力が、縦横無尽に発揮された一作には違いありません。その昔はケン・ラッセルが好きだった小生ですから、こういう人はどうしても応援したくなっちゃうのです。
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