« 「ゼロ・グラビティ」:宇宙映画&3D映画の金字塔 | トップページ | 「マリヤズ・ソングブック」、いいですね »

2013年12月29日 (日)

「鑑定士と顔のない依頼人」:語り口の妙と映画のコク

347018_001

映画『鑑定士と顔のない依頼人』は、よく出来たお話、よく出来た知的娯楽映画です。映画好きの大人が詰めかけてヒットしているというのも、むべなるかなです。

347018_006

ミステリーではありますが、深い謎解きやどんでん返しではないのです。ちょっとばかり推理小説やミステリー映画に慣れた観客なら、犯人は・・・って気がついて、で次はこうなるよねって方に進んでいきます。あまりにひねりがなくて、えっ、それでいいの?って思っちゃうほどです。それでも滅法面白いのは、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の語り口の妙であり、映画としての「コク」みたいなものなんですよね。

347018_005
映画の「コク」とは画面の密度であり、そこから匂い立つペダンティックな美の様相だったり、フェティッシュな官能だったり、役者の妙演だったりするわけですが、本作にはそれらが全てあり、観る者の目と脳をもてなしてくれるのです。

347018_004

(以降ややネタバレあり) それにしてもあの名画(女性肖像画)で埋め尽くされた隠し部屋の凄さ! そのビジュアル的アタックの強さと眼福感。そしてその稠密な壁面が、白一色になった状態のもたらすインパクト! そしてある絵の裏の署名がもたらす静かなインパクト! さらには・・・。 うまいなあ。トルナトーレは、映画の語り方の名人だなあ。

347018_008

ジェフリー・ラッシュがいつも以上に圧倒的な名演。まあ八面六臂と申しましょうか、いろんな顔、いろんな感情をくさくなる一歩手前で見事に演じきって、圧巻です。

画面を埋め尽くす名画に加えて、内装・調度や食器、ファッションなどがことごとく一流の名品ならではの密度と輝きで、映像のクォリティを高めます。エンニオ・モリコーネの音楽も含め、いやー、映画って本当に総合芸術ですね。

|

« 「ゼロ・グラビティ」:宇宙映画&3D映画の金字塔 | トップページ | 「マリヤズ・ソングブック」、いいですね »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/42098/54425254

この記事へのトラックバック一覧です: 「鑑定士と顔のない依頼人」:語り口の妙と映画のコク:

» 鑑定士と顔のない依頼人 [佐藤秀の徒然幻視録]
生身美女vs.絵画美女 公式サイト。イタリア映画。原題:La migliore offerta、英題:The Best Offer。ジュゼッペ・トルナトーレ監督、音楽:エンニオ・モリコーネ。ジェフリー・ラッシュ、シ ... [続きを読む]

受信: 2013年12月29日 (日) 23時31分

» 『鑑定士と顔のない依頼人』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「鑑定士と顔のない依頼人」 □監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ □キャスト ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・フークス、ジム・スタージェス、       ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン ■鑑賞日 12月21日...... [続きを読む]

受信: 2013年12月29日 (日) 23時50分

» 『鑑定士と顔のない依頼人』 [こねたみっくす]
この恋は贋作、でもこの恋心は本物。 切ない、あまりにも切な過ぎる。ラブストーリーとして見ると、この結末はあまりにも残酷です。ただ予告編通りにミステリーとして見ると、至 ... [続きを読む]

受信: 2013年12月30日 (月) 01時29分

» 鑑定士と顔のない依頼人 /LA MIGLIORE OFFERTA/THE BEST OFFER [我想一個人映画美的女人blog]
ランキングクリックしてね larr;please click 「ニュー・シネマ・パラダイス」 「海の上のピアニスト」などの ジュゼッペ・トルナトーレ監督最新作はミステリー。 美術品鑑定士であり、有名一流オークションを仕切るオークショニア、 潔癖性で、常に...... [続きを読む]

受信: 2013年12月30日 (月) 11時05分

» 「鑑定士と顔のない依頼人」 [ここなつ映画レビュー]
2013年のラストに観た作品がこれでした。「鑑定士と顔のない依頼人」。我ながら良い作品をとっておいたものだと思います。宣伝文句通り。「ジュゼッペ・トルナトーレが仕掛ける極上のミステリー。衝撃のラストを知ると構図は一転する。」とか何とか。めくるめく豪華絢爛なミステリーに酔いしれる内にラストの驚愕で立ち上がれない。微妙にネタバレあります。 一流鑑定士としてのバージル・オドマン(ジェフリー・ラッシュ)は美術品のスペシャリストとしての評価を欲しいままにしており、一流美術品オークションの一流の競り人としても活... [続きを読む]

受信: 2014年1月20日 (月) 13時38分

« 「ゼロ・グラビティ」:宇宙映画&3D映画の金字塔 | トップページ | 「マリヤズ・ソングブック」、いいですね »