「ブリングリング」:世も末な連中
映画『ブリングリング』は、こうしてアメリカは滅んでいくのかなあといった感想を抱かざるを得ない作品。「世も末」感に溢れていて、面白さの一方で苦くてdisgustingな思いに満たされます。それほどに登場人物たちには何の共感も沸かず、むしろ怒りと侮蔑しか出てきません。まったくとんでもねー連中だ!
それにしてもハリウッド・セレブの邸宅、セキュリティ甘すぎ! 対策無さすぎ! 事実に基づいているだけにビックリですね。セコムは無いんかい?(ま、防犯用カメラがある家もありましたが)
ソフィア・コッポラも今までの監督作とは違って、彼女たちに自分を同化することなく突き離して、むしろニュートラルに見せながら批判的なまなざしで描いています。そりゃそうですよね。連中の言葉に「アメリカ人は『ボニー&クライド』的なものが好きだから」ってのがありましたが、こいつらは『ボニー&クライド』とは全く違って、共鳴できる人間味もなければ、犯罪者の屈折やロマンもなく、いわばただ甘やかされたバカってだけ。 だから好きになれる映画ではないし、ただただ「世も末」な感覚なのです。
でも、確実に「現代」がここにあります。今を切り取った鋭い作品になっています。音楽はカッコイイし、撮影は素晴らしいし、90分にまとめたコンパクトさも良いし。「おんなのこ」→「社会」へというソフィアの転換点なのかも知れません。
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