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2013年12月31日 (火)

「キューティー&ボクサー」:二人展も必見

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映画『キューティー&ボクサー』は、NY在住の破天荒アーティスト、ギュウちゃんこと篠原有司男とその妻乃り子の創作と生活を追ったドキュメンタリー。先日もNHKの番組でボクシング・ペインティングの実演をやっておりましたが、81歳にして変わらぬファイティング・スピリットの持ち主であるギュウちゃんと、21-2歳年下の乃り子さんという素材が最高で、二人の様子を見てるだけで面白いのです。

ギュウちゃんがあるインタビュ346962_001ーで、「俺の映画だと思ってたのに、出来あがって見たら夫婦愛の映画になっていた」とこぼしていましたが、少し不満なんでしょうね。確かに完成作品は、篠原を中心に描いているようでいて、むしろキューティー=乃り子さんを讃える映画になっていると思います。アーティスト篠原有司男の人と作品を描くドキュメンタリーには、あえてしていないのです。そしてギュウちゃん自身はあまり認めていない乃り子さんのアーティストとしての才能にかなり比重を置いた作りになっているのも、彼の目には面白くないところかも知れません。

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乃り子さんが描く「キューティー&ブリー」を使って(時にアニメーション化したりして)、二人の馴れ初めからの40年の暮らしっぷりを紹介する手法により、ギュウちゃんのワイルド&ドランカードな芸術家的生活と、それによって苦難と怒りに満たされた夫人の半生が観客にインプットされます。それに対して現在のギュウちゃんは、結構やりたい放題に見えながらも、「しょうがない人」として打たれっ放し。そう、ラストに出てくる屋外での二人のボクシング場面(素晴らしい!)の如くに、打たれっ放しなのです。キューティーにしてみれば、積年の恨みを晴らしているのでしょうし、ギュウちゃんにしてみれば「男はつらいよ」ってところなのでしょうか。

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ま、それでも二人の間には戦友的な愛がそこはかとなく漂っていて、悪くないのです。特殊なアーティスト夫婦の物語に見えて、どこにでもよくいる夫婦の普遍的な物語に着地しているのです。

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で、上映館の渋谷シネマライズすぐそばのパルコ・ミュージアムでは『篠原有司男・乃り子二人展 愛の雄叫び東京篇』を開催中(~1/13)。映画の半券提示で入場料半額というのもあり、こちらも鑑賞しました。映画にも登場したボクシング・ペインティング作品や段ボールのオートバイ、「キューティー&ブリー」の絵巻絵画など、荒々しくも個性のかたまりである彼らの作品自体を体験できるチャンスです。

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ボクシング・ペインティング制作の映像などもありましたが、なんと12月14日にはパルコのスペイン坂広場でライブのペインティングをやっていたのですってね。見たかったなあ。

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