「サリンジャー 生涯91年の真実」、ようやく読了
昨年8月初版のケネス・スラウェンスキー著・田中啓史訳の『サリンジャー 生涯91年の真実』(晶文社)をようやく読了。650ページほどにも及ぶ分厚い本なのに、他の本や雑誌と併読で断続的にちびちびと読み進めていたもんで、10月ぐらいから延々とかかってしまいました。
何せ4,600円+税なのですから、あっさり読み終わっちゃあもったいないってもんです。辞書以外でこんな高い本買った記憶ってないぐらいです。 でも小生の大学(英文学科)での卒業論文は『J.D.サリンジャーの作品におけるイノセンス』だったので、これは買わずにはおれないわけですね。『ライ麦畑でつかまえて』(あえて『キャッチャー・イン・ザ・ライ』とはしません。だって村上春樹訳よりも野崎孝訳の方が好きなんだもーん)は、小生のバイブルでもありますし。
厚いベールに覆われた謎の作家。後半生は世間から身を隠し、作品を発表せずに隠遁生活を送っていた世捨人。そんなサリンジャーの生涯と全作品を詳細に書き綴った「決定版的」な伝記です。緻密なリサーチと資料収集に基づいた、ニュートラルな視点の労作です。こういうのがあれば、卒論ももう少しラクだったのに。
2010年にサリンジャーが91歳で他界したことによって、出版が可能になった側面もあると思いますが、この伝説の作家が生前に書きためていた幻の作品たちが発表される(であろう)その前に、おさらいとして呼んでおくべき参考書には違いありません。
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