「武士の献立」:上戸彩が好演
映画『武士の献立』は、松竹内で制作のきっかけとなったであろう『武士の家計簿』よりも安定した、松竹らしい娯楽作になっていました。通俗であることの良さを持っております。
今までどの映画やTVで見ても、いいと思ったことのない上戸彩、本作で初めていいと思いました。抜群の味覚と料理の才覚を持ちながら、古だぬきと呼ばれて疎まれながら、影の存在に徹してダメダメな夫を支え続ける、献身的過ぎるほど献身的な--つまり男にとって都合が良すぎる程の--古風な女房を演じます。現代の女性からすれば、疑問や反感を生じるところなのでしょうけれど、時代劇なので許してちょんまげ。むしろ『半沢直樹』の花ちゃんには、見習ってもらいたいぐらいです。
料理に関しては残念ながら撮り方がうまいとは思えませんでした。もっと、ある意味“主役”として、ダイナミックに、シズル感たっぷりに、そしてセクシーに撮ってもらいたかったところです。伊丹十三や森田芳光や荻上直子のように。料理を主役たらしめるクロースアップがほとんど無かったし・・・。
高良健吾のダメダメ夫は、これから先も思いやられる感じでしたが、父よりも高い位階に着いたと示されましたね。女房殿のおかげなのでしょう。やれやれ。
そして誰もが思うところでしょうけど、エンディングに流れるcharaの歌の違和感たるや! いくらタイアップとはいえ、これ監督も辛かったでしょうねえ。
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