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2014年2月22日 (土)

「かわいそうだね?」「亜美ちゃんは美人」

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綿矢りさの『かわいそうだね?』(文春文庫)を読みました。綿矢さんは好きなので、だいたいの作品は読んでおります(一方で金原ひとみさんも好きなのですが)。綿矢さんは軽めだったり優等生ぽかったり思われがちだと思いますが、いやいやなかなかどうして、さすがは芥川賞作家なのです。『夢を与える』なんか、タイトルと裏腹に、かなり凄いものがありますよ。

で、この本には『かわいそうだね?』と『亜美ちゃんは美人』の2作品が収録されておりまして、良作とも甲乙つけがたい傑作だったのであります。びっくりです。

『かわいそうだね?』は、綿矢さんらしい「恋愛暴走もの」。というより、主人公の周りの人と環境が暴走しちゃうのですね。そして彼女の常として、へたすりゃライトノベルってところを、きちんと現代の文学に仕立て上げてくれます。そしてとにかく面白い! リアルな悩みやら嫉妬やら憤懣やらが静かにエスカレートしていって、遂にカタストロフィーを迎えるのです。ただ、そのカタストロフィーの爆発が、なんと爽快なことでしょう。 女の描き方はもちろんのこと、優柔不断な男の描き方もうまいなあ。まあ、一種のホラーと考えてもいいのかも知れませんね、『キャリー』みたいな・・・。 まあ前半にはとても想像できなかった着地点に、読む者を連れていってくれる小説でした。終盤ぐいぐい加速してクレイジーに破裂する展開が、オドロキでした。

『亜美ちゃんは美人』も、後半の意外な転がり方をし出してからが実にユニーク。これまた前半には思いもよらなかった方向に、話がどんどん転がって行って、その展開が読んでいる者にとっても辛いほど(「やめてーっ!」って感じ)。しかしその「残酷な真実」は世の中によくあるパターンとして、実に納得性が高いもの。うーん、鋭いなあ。良作とも、「心理の奥のこんなゾーンをリアルに摘出したんだぁ」って感想を持ちました。

面白くって、実はちょっとブラックで深い。成長を続ける綿矢りさらしさがたっぷりの、オススメ2作品です。

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