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2014年2月26日 (水)

「ダラス・バイヤーズ・クラブ」:黒澤『生きる』の主人公にも似て

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映画『ダラス・バイヤーズ・クラブ』は、作品も役者も予想を上回る素晴らしさでした。マシュー・マコノヒーの主演男優賞、ジャレッド・レトの助演男優賞に、がぜん肩入れしたくなってしまう作品です。

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とにかく21kg減量してHIV陽性患者の役作りをしたマコノヒーが圧倒的で、片時たりとも目が離せません。やっぱりこれだけやせると、人間は顔が変わっちゃうんですね。マコノヒーというよりは、ヴィンセント・ギャロとか往年のデニス・ホッパーとか、ハリー・ディーン・スタントンとか、そういう系統の顔。で、手足にしても腹にしてもまあ細いこと、細いこと。ただ、その細さにみなぎるギリギリの意志とパワー、そして「感情の揺れ」が見事に表現されていました。 序盤には野卑なカウボーイ=嫌な奴 だった彼が、どんどん魅力的に見えていき、終幕を迎える頃にはむしろ彼を愛し、尊敬してしまう、そんな役作り。見事です。

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減量ということでは18kg減らしたジャレッド・レトも負けず劣らず見事で、トランスジェンダーの役どころを類型の罠にはまることなく演じ切りました。そこに浮かび上がる悲しみや尊厳や茶目っ気、そしてこちらも「感情の揺れ」の表現がお見事でした。

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本作で描かれた未承認薬と製薬会社と政府の関係を見ていると、どこかの国の原発と電力会社と政府の関係を想起せざるを得ません。そこで理不尽に犠牲になるのは、常に普通の人々。 でも、主人公はドン・キホーテ的な戦いの果てに、周囲に多くの影響を与え、後世のための「生きた捨て石」となりました。

本作を見終えて思い出した映画は、黒澤明の『生きる』です。「余命30日宣告」を受けた主人公の7年間は、まさに「生きる」ということだったと思うのです。

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