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2014年2月11日 (火)

「小さいおうち」:謎解きではなく・・・

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映画『小さいおうち』は山田洋次らしくもあり、らしくもなしという佳作。まあ客席に身を沈めて後はおまかせで良いという、まさに「映画で語る」名人の仕事には違いありません。

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赤い屋根の洋風モダン住宅が実に「かわいい」のですが、そのお伽話的外見と、その中での不倫事件に関わる人々のもやもやと複雑な心理が対置されています。

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そして謎を残した作りが、作品に深みを与えます。 (以下ネタバレあり) タキちゃんがおばあさんになった晩年の「深い哀しみ」の理由は・・・? そして作品冒頭でちらりと出てきた1枚の絵の存在を思い出した時、あっと驚き、ぞっとするわけです。ただ、そういうミステリーが主題の映画ではないので、山田監督もそこの「謎解き」は行いません。あくまでも奥ゆかしく、「置いて」あるだけですし、いろんな解釈が可能な作りをとっています。そこに人間というものの、単純ではない深さが見え隠れするのです。

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女中のタキを演じる黒木華が見事でした。彼女の柄(がら)にぴったりのハマリ役と言えるでしょう。 一方、近年圧倒的な演技(『ヴィヨンの妻』『告白』『夢売るふたり』)を見せる松たか子は、「まずまず」といったところ。ちょっと中谷美紀で見たい気がいたしました。 そして吉岡秀隆に関しては、ミスキャストなのでは? ここはもっとキリリとしたハンサム・ガイの方がフィットしたと思うのです。

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山田洋次らしくと申しましょうか、右傾化への警鐘をきちんと描いています。『母べえ』の時ほど強烈にではありませんが、第二次大戦に向かう昭和初期と今の時代の空気が妙に似ていることへの恐れを、市民レベルの描写の中から発信する骨のある姿勢は、いつもながら貴重なものだと思います。

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