「東京難民」:現代日本の地獄巡り譚
映画『東京難民』は、何とも胸苦しい原題の地獄巡り譚。でも、この主人公の場合、ほとんど自業自得的な感もあるのですけど。
そもそもこの主人公、大学生だった時から、そしてその後転落しつづけても基本的に「世の中ナメて」ます。その上「危機意識なさすぎ」です。これじゃあトラブルに巻き込まれるのも解決しないどころか、どんどんドツボのスパイラルにはまっていくのも当然でしょう。てんで「あまちゃん」(本来の意味の)なんです。
全編の内かなりの尺をホストクラブのエピソードに使っていて、ふと「これって何の映画だっけ?」と思ったりもしました。ここで目を引く演技を見せるのが「東宝シンデレラ」出身の大塚千弘(昔は「大塚ちひろ」でしたね)。この映画で実力を見せつけたので、これから引く手あまたなのでは? ただ撮影時27歳なのですが、その10歳位上に見えました。
笹部清監督だけに、あくまでも真面目にじっくりと描き、そしてラストには希望を漂わせました。まあ映画的にはもっと救いのない地獄を描いた方が傑作たり得たかと思うのですが、そうはしないところが良くも悪くも笹部監督だよなあと感じました。
それにしても、普通の大学生が一歩間違うとこう転落して行ってしまう、だからあなただって私だって・・・という人ごとじゃない怖さ。そんな日本社会への問題提起として、十分に意義のある作品だと思います。
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