« 「それでも夜は明ける」:自己正当化と他者の否定 | トップページ | 桜のスイーツたち »

2014年4月 1日 (火)

「フルートベール駅で」:a day in the life

347688_004

映画『フルートベール駅で』はサンダンス映画祭作品賞&観客賞→カンヌ他でも受賞という小粒の良品。気は衒わずに、淡々と「ある事件」を、というかある事件の前後を再現して見せます。

347688_003

冒頭に、駅での実際の事件を乗客が携帯で撮影してYouTubeにアップした映像が使われています。なので映画の作りとしては、事件に向かって突き進んでいく1日を淡々と描いていきます(+事件の後も)。そのように、そこそこピースフルな1日を過ごす主人公の時間の流れを観客が共有することによって、事件が他人事ではなくなってくるのです。事件までの追体験によって、この主人公が「弱い所はあるけれど、けっこうイイやつ」だってことがわかってきて、ほとんど知り合いみたいな気持ちになっていくのです。

347688_001

(以下少々ネタバレあり) でも映画は進行し、事件は起こります。観ている我々はあの警官たちに憤りを覚え、「なぜ?」と問いかけながら、無力感に打ちのめされるばかりなのです。抑制の効いた作りが、静かな怒りを小声で訴えかけてくる作品です。これもまた「作ったこと自体がとても意義深い作品」と言えるでしょう。一人の人間の死とは、その人生を断ち切ると共に、周囲の人々にも大きな欠損を与えます。そこらへんがビビッドに表現できていたと感じました。

347688_005

巨魁の警官役ケヴィン・デュランがコワ過ぎ、迫力あり過ぎで、圧倒されます(ビビります)。 そして主人公の母親役オッタヴィア・スペンサーはパグ犬に似ています。もしくはオバQとか鈴木明子とかにも・・・。

|

« 「それでも夜は明ける」:自己正当化と他者の否定 | トップページ | 桜のスイーツたち »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/42098/55607430

この記事へのトラックバック一覧です: 「フルートベール駅で」:a day in the life:

» フルートベール駅で [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。原題:Fruitvale Station。フォレスト・ウィテカーら製作、ライアン・クーグラー監督。マイケル・B・ジョーダン、メロニー・ディアス、オクタヴィア・スペンサー、アナ・オラ ... [続きを読む]

受信: 2014年4月 1日 (火) 22時24分

» 『フルートベール駅で』 (2013) [相木悟の映画評]
静かで熱い、深刻な問題提起を受けとめるべし! 時に埋もれていた事件に光を当て、大きなムーヴメントを起こす映画の社会的ポテンシャルをまざまざと思い知らされる良作であった。 22歳の黒人青年が白人警官に銃で撃たれて死亡し、全米で大きな波紋を起こした実在の...... [続きを読む]

受信: 2014年4月 1日 (火) 23時47分

» フルートベール駅で/FRUITVALE STATION [我想一個人映画美的女人blog]
2013年のサンダンス映画祭で、作品賞と観客賞Wで受賞 (正直、サンダンスもカンヌで選ばれるものもあまり好みじゃないこと多いけど) 2009年1月1日にアメリカ・サンフランシスコで実際に起こった射殺事件を題材に 主人公オスカーの最後の一日を追った作品 。 ...... [続きを読む]

受信: 2014年4月 2日 (水) 21時37分

» フルートベール駅で・・・・・評価額1700円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
明日は、もうやってこない。 2009年の1月1日未明、サンフランシスコ・ベイエリアのフルートベール駅で、丸腰の黒人青年オスカー・グラントが警官に射殺された事件をモチーフにした人間ドラマ。 特定人種への偏見が事件の一因である事は確かだが、単に人種差別を告発した作品ではない。 映画は、オスカー最後の一日を通して、彼が何者だったのかを私たちに知らしめる。 理不尽に奪われたのは、どこにで...... [続きを読む]

受信: 2014年4月 4日 (金) 21時41分

» 映画・フルートベール駅で [読書と映画とガーデニング]
原題 Fruitvale Station2013年 アメリカ 2009年ニューイヤーズ・デイ新年を迎え歓喜に沸く人々でごった返すベイエリア高速鉄道のフルートベール駅で、22歳の黒人青年が白人の鉄道警官に銃で撃たれ死亡した銃を持たない丸腰の青年がなぜこのような悲惨な死を迎え...... [続きを読む]

受信: 2014年4月14日 (月) 17時13分

» 最後の一日~『フルートベール駅で』 [真紅のthinkingdays]
 FRUITVALE STATION  サンフランシスコに住むアフリカ系青年オスカー・グラント(マイケル・B・ジョー ダン)は、前科はあるが気のいい好青年。遅刻癖のために解雇されたり、浮気 症がもとで恋人と諍いがあったりと、人生に多少の問題はあるものの、彼は娘 を持つよき父であった。2008年の大晦日、そんな彼が凶弾に倒れる。  アメリカで実際に起こ...... [続きを読む]

受信: 2014年4月30日 (水) 15時35分

« 「それでも夜は明ける」:自己正当化と他者の否定 | トップページ | 桜のスイーツたち »