「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」:味わい深い大人向け
『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』は、久々に持ち直して上出来だった前作『バカうまっ! B級グルメサバイバル!!』をも上回る良作。そして久々の「大人向け全開」ってことで、なかなかに深い味わいの作品となっておりました。
脚本がなんと中島かずき(劇団☆新感線)! 1959年生まれの中島が、同年代のおじさんたちの悲哀をっぷり描いていています。 そして小ネタもたっぷり。謎のエステサロンを探し歩く場面には、店名の看板に「パシフィック・リム」「トランスフォーマー」「ターミネーター」などの文字が並びます(ロボット戦闘ものってことで・・・)。 カスカベボーイズたちが「大人の階段」とやらを昇る場面ではボーちゃんが「H20」とつぶやきます(「♪大人の階段のーぼるー 君はまだシンデレラさ」で有名な『想い出がいっぱい』を歌ったのはH2Oという男性二人組。 『朝まで生ノハラ』の司会者が、しんちゃん扮する「たはらしんのすけ」だってのも笑えました。
そもそも「男ってなんで大きなロボットが好きなのかしら?」「バカだからよ。」なんて本質的な台詞、この人でないとなかなか書けません。
父親の復権はいいけれど、それが行き過ぎるととても危険なことになるという物語展開は、おそらく「美しい日本の復権」から危険な足音が聞こえている時代への警鐘と取っていいのでしょうね。
でもとーちゃんとロボとーちゃんの軋轢・葛藤から美しい結末への展開は、奇をてらったものではなく、きちんと考えられた職人仕事でした。そして夫婦愛を描く件りでは、3回ほどグッときてしまいました。
前作ではオープニングテーマ(『キミに100パーセント』)に起用されたきゃりーぱみゅぱみゅですが、今回はそれに加えてエンディングテーマ(『ファミリーパーティー』)も担当しておりました。
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