「ブルージャスミン」:ケイトのワキ汗

映画『ブルージャスミン』はウディ・アレン久々のクオリティーの高さ。最近のヨーロッパ観光都市路線は、撮ってるアレンも観光気分なのか、良くも悪くもスケッチのような軽みが身上だったのですけど、こいつは映画として「クラシック」になっていきます。質と完成度の高さにおいて、『マッチポイント』('05)までさかのぼるレベルだと思います。

この脚本で、主役をケイト・ブランシェットが受けた時点で、作品の成功は約束されました。ってよりも、ケイトのオスカー獲得は約束されました。今年のアカデミー賞で一番テッパンとされていて、実際に受賞したケイトの演技は、近年の女優演技の中でもピカイチのスケールと押し出しと振れ幅で屹立しています。

自業自得というか、ザマーミロというか、良識派の庶民から見ると、ジャスミンの没落はむしろ愉快なことなのですけど、この人はこういう生き方しかできない、こういう考え方しかできない人。不思議の国の住人なのです。そこがぞっとするところですね。

転げ落ち、悪あがきし、更にドツボにはまっていくさまは、今年公開の日本映画『東京難民』(笹部清監督)を思わせたりもします。『サンフランシスコ高等難民』ってとこでしょうか。 転げ落ちてデスパレート状態での「はげ落ちマスカラ」とか「びっちょりワキ汗」とかがまたスゴイです。サラサラ汗じゃなくて「悪い汗」だってことが、ちゃんとわかります。『フィクサー』('07)のティルダ・スウィントンによるオープニング・シーンと並ぶ2大ワキ汗名場面です。

(以下ネタバレあり) 終盤からラストに至る「どん底への叩き落とし方」は、今までのアレン映画には無かったほどのものでしょう。でも、微妙にコミカルでもあり、何よりケイト・ブランシェットの芝居の見せ場になっているので、哀しみや憐れみよりも、狂気芝居への感嘆が先に立つのです。『サンセット大通り』のグロリア・スワンソンや『欲望という名の電車』のヴィヴィアン・リーみたいな「見せ場」だよなあ、女優冥利だろうなあなどと考えてしまうわけなのであります。
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作品について http://cinema.pia.co.jp/title/163894/
↑ あらすじ・配役はこちらを参照ください。
それは、セレブ女性の転落の物語――
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転落人生と言えども、コミカルにシニカルに、魅せてくれるものと期待☆
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受信: 2014年6月12日 (木) 21時18分
コメント
大江戸さん ブルージャスミン・・・彼女は・・・
>大ワキ汗名場面です。
ハハッ 大いに笑いました
こんな しょうもない コトを 熱心に 書かれるとは 感心しました。
>自業自得というか、ザマーミロというか、良識派の庶民から見ると、ジャスミンの没落はむしろ愉快なことなのですけど、
まあ おっしゃるとおりですね。 でも そんな彼女を憎めない女と見えるところが ウッディアレンの演出の賜物といえるんじゃないでしょうか。
けど それでも 彼女のごう慢身勝手ぶりには ムカムカは少なからずありました。 ”世間知らずの元セレブの ごう慢ぶりに 振り回される 周囲の者たちの気持ち 考えても見てくださいよ・・・! ”とは言いたくなりますよね。
投稿: | 2014年7月 4日 (金) 10時10分