「ホドロフスキーのDUNE」:見果てぬ夢
映画『ホドロフスキーのDUNE』を観て思いだした多くの映画の中で、やはり筆頭に置くべきは『ロスト・イン・ラマンチャ』でしょう。テリー・ギリアムの未完成作『ドンキホーテを殺した男』の製作を巡るドキュメンタリーです。どちらも「作品に至らなかった」作品への見果てぬ夢です。
それにしてもアレハンドロ・ホドロフスキー85歳がやけに若々しいです。本人曰く「(犯罪的に)若い妻に触れるたびに若返りますよ」ってことらしいのですが・・・。あんな変な作品を撮ってきたくせに、妙に「いい人」っぽいっですし。彼の最高なところは、自分で撮れなかった『DUNE』を、ディノ・デ・ラウレンティスの娘がデイヴィッッド・リンチに作らせてしまい、ホドロフスキー自身「リンチは唯一この作品を撮る才能を持った監督」と思っていたので、落ち込んでしなしなになって、それでも映画館に行ってみたら、あまりの失敗作ぶりに元気が出ちゃったってところ。確かにあの『DUNE』はねえ・・・。それにしても笑えます。人間味のあるじいちゃんだ。
予定されていたキャストが、ダリ!!! オーソン・ウェルズ!!! ミック・ジャガー!!! らだったってのに驚愕。しかもホドロフスキーが一人ずつそれらの巨人たちを口説き落としていく想い出話なんて、まさに『七人の侍』における侍探しのようでした。うーん、壮大な失敗作になった確率が高そうですけど、やっぱり観たかったですねえ。
まあそれでもこの企画が『スター・ウォーズ』やら『エイリアン』やらその後の映画(特にSF)に与えた影響は、小さからぬものがあったと思いますし、この企画のプロデューサーであったミシェル・セドゥーとの再会により近日公開されるホドロフスキーの新作『リアリティのダンス』(予告編を見たけど、素晴らしそうでした)が作られたというのは、大変喜ばしいことに違いありません。
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コメント
> あんな変な作品を撮ってきたくせに、妙に「いい人」っぽいっですし。
わははははは。正に!
投稿: ふじき78 | 2014年6月25日 (水) 23時08分
でしょ。
投稿: 大江戸時夫 | 2014年6月25日 (水) 23時26分