« サッカーの本&雑誌 | トップページ | 「チョコレートドーナツ」:声高にではなく・・・ »

2014年6月13日 (金)

「野のなななのか」:実験的メッセージ映画

347491_009_2

21世紀の大林映画って、なんかズレちゃた気がして、正直つらいんです。好評を博した前作『この空の花-長岡花火物語』にしても、ナマなメッセージが前面に出過ぎていて、「映画として時代を越えて残る作品」というよりは「時代にモノを言うジャーナリスティックなグラフィティ」としての存在が、ある意味異様でした。とはいえ、大林さんにとっては、それもまた“A MOVIE”なのでありましょう。

347491_006_2

大林さんご本人は前作と本作を「シネマ・ゲルニカ」と称しているそうですが、なるほど平和への希求や、戦争や原発を推し進めた人への静かな怒りがメッセージとして心に刺さるという意味では、そして従来の映画をぶち壊して新しい表現に挑んでいるという意味では、この呼び名は的を射たものと言えるでしょう。

347491_008

一方で、時制を無視して、現在と過去を、生きている人と死んでいる人を、年齢や時代を激しく交錯&往来させながら突っ走るアヴァンギャルドな手法がどこまで成功しているのかというと、小生としては疑問です。 少なくとも寺山修二の『田園に死す』や鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』が「、生と死とアートと映画を見事に融合させていたほどには、うまくいっていないのではと思いました。

347491_004

それでも、前作『この空の花』よりもさらに「自由」になった気がします。生涯実験映画作家の面目躍如であることは確かでしょう。

347491_001

登場人物たちが棒読み風の台詞回しを物凄い早口で語り続けるもので(特に序盤は凄かったです)、その言語情報を処理するために、脳がひどく疲れました。途中でもうオーバーヒートしそうになりました。大林映画だけにカット数もまたやけに多いもので。2時間51分を観終えた時には、4時間半ぐらいのものを観たような脳の疲れを覚えた大江戸なのでした。

|

« サッカーの本&雑誌 | トップページ | 「チョコレートドーナツ」:声高にではなく・・・ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/42098/56490087

この記事へのトラックバック一覧です: 「野のなななのか」:実験的メッセージ映画:

» 野のなななのか [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。長谷川孝治原作、大林宣彦監督、品川徹、常盤貴子、村田雄浩、松重豊、柴山智加、山崎紘菜、窪塚俊介、寺島咲、内田周作、細山田隆人、小笠原真理子、イ・ヨンスク、 ... [続きを読む]

受信: 2014年6月13日 (金) 23時30分

» 大林宣彦監督『野のなななのか』常盤貴子、品川徹、寺島咲、安達祐実、他 "見ることによって語り継がれる映画" [映画雑記・COLOR of CINEMA]
注・内容に触れています。『野のなななのか』大林宣彦監督出演 : 常盤貴子、品川徹、寺島咲安達祐実、他音楽 : パスカルズ 物語・北海道芦別市で古物商を経営する元病院長の鈴木光男(品川徹)が、3月11日... [続きを読む]

受信: 2014年6月13日 (金) 23時46分

» 【 野のなななのか 】四十九日 [映画@見取り八段]
野のなななのか     監督: 大林宣彦    キャスト: 品川徹、常盤貴子、寺島咲、山崎紘菜、安達祐実、窪塚俊介、左時枝、村田雄浩、松重豊、柴山智加、内田周作、細山田隆人、小笠原真理子、イ・ヨンスク、大久保運、小磯勝弥、斉藤とも子、原田夏希、猪股南、相澤…... [続きを読む]

受信: 2014年6月13日 (金) 23時55分

» 野のなななのか ★★★.5 [パピとママ映画のblog]
『その日のまえに』『この空の花 長岡花火物語』などの大林宣彦が、北海道芦別市を舞台にしたドラマ。92歳で亡くなった家長の葬儀で顔をそろえた一族が、ある女性の来訪を契機に家長の知られざる過去を知る姿を描く。ベテランの品川徹、『赤い月』などの常盤貴子をはじめ...... [続きを読む]

受信: 2014年6月14日 (土) 20時16分

» 野のなななのか・・・・・評価額1750円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
大林宣彦の、シネマティック・ワンダーランド第2章。 「この空の花-長岡花火物語」の新潟県長岡から、北海道の芦別へ。 街が持つ遠大な歴史と、そこに住む人々の記憶を巡る、壮大な映像クロニクルの幕が再び開く。 一人の老医師の死から始まる物語は、一気に時をさかのぼり、第二次世界大戦の忘れられた樺太の戦いから、衰退した芦別炭鉱のなりたち、そして3.11後のまだ見ぬ未来へと疾走する。 この世...... [続きを読む]

受信: 2014年6月17日 (火) 20時33分

« サッカーの本&雑誌 | トップページ | 「チョコレートドーナツ」:声高にではなく・・・ »