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2014年7月31日 (木)

村上春樹編訳短編集「恋しくて」

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昨秋刊行された村上春樹編訳による短編集『恋しくて』を、ようやく古本屋で買って読みました。その名の示す通り、恋愛小説ばかりを集めたアンソロジーです。欧米の作家9人の9編に加えて、村上氏書きおろしの1編で成り立っています。表紙に使われた絵は竹久夢二の『黒船屋』ですね。

当然作品の出来も、好みに合うかどうかもさまざまなレベルなのですが、正直全体的にさほど面白くはなく、9作を読んでいる間ずっと、「早く最後の村上作品を読みたい」と思っていたのでした。

で、やっぱりこの村上作品『恋するザムザ』がだんぜん面白いのです(少なくとも小生にとっては)。不条理をひっくり返した不条理が、「マイナス×マイナス=プラス」となっているような話です。カフカにオマージュを捧げながら、村上ワールド以外の何ものでもありません。

でもローレン・グロフという米作家の『L・デバードとアリエット--愛の物語』は、中編と言ってもいい分量以上に堂々たる半生ドラマとなっていて、なかなかに面白かったことを付記しておきます。

春樹さんによる解説及び「恋愛甘辛度」なる★の数による評価がついているのも、ハルキストのはしくれとしては嬉しいところでした。

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2014年7月30日 (水)

久々の末広亭

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新宿末広亭に行き、久々の寄席鑑賞。

計画性なしに(前もって席の予約などせずに)ふらりと、途中からでも適当に入れるのが寄席のいいところ。 落語を中心に、漫才、講談、俗曲、独楽回しなどのバリエーションで、飽きさせずに楽しませてくれます。

ただ、最後列の席に座ったのですが、数名の噺家の方々の声が聞き取りにくいのに、参りました。声の大きな人はいいのですけれど、小声で話す芸風の人だとかなり聞き取りにくいのは、改善すべきなんじゃないですかねえ。いちおう高座前にマイクロフォンは立ててあるのですが、だいぶ離れているのであまり音声を拾わないみたいなのです。あと後ろの扉がしばしば開くので、そこから木戸口あたりの声が聞こえたり、場内の音が逃げていって益々聞きにくいってこともありますけど・・・。

まあ、ちょっと物足りない芸、気に入らない芸も含めてのバラエティーセットが寄席ですから、いろんなことを寛大に、ゆるりと楽しむ姿勢が肝要。 トリの桂伸治師匠の「野だいこ」、悪くなかったですよ。

そういえば桂米丸師匠、TVも含めて久々にお顔を拝みましたけど、すっかりおじいちゃんになっちゃって。しかも膝が悪いってことで、椅子に腰掛けての高座でした。

ドアから一歩踏み出せば、いつもの新宿の街。 寄席は「お手軽な非日常」で敷居は低いので、未体験の方は是非おためしください。

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2014年7月29日 (火)

葛西臨海水族園と公園

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昨日のしながわ水族館に続いて、今日は江戸川区の「葛西臨海水族園」(水族館じゃなくて「園」なんですね)に行って来ました。

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ここに来るのも初めてなんですけど、英語名が“TOKYO SEA LIFE PARK”ってことで、日本語の正式名称も「東京葛西臨海水族園」。そう、東京都が運営している施設なんですね。だから大人入園料も700円とお安目です。

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ここの名物は何と言ってもマグロ。クロマグロの群れが巨大水槽の中を泳ぎ回っています。「おいしそう」と言うこともできる光景です。

ちょうどエサやりの時間だったので、ずっと見ていましたが、見飽きませんねえ。シルバーメタリック・ボディの美しいこと!

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シュモクザメやエイやイセエビもいたけど、クラゲがちょこっとだけだったのは残念至極。

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ペンギンさんもたくさんいました。どこ行っても思うんだけど、ペンギンって臭いんですよね。それがちょっとイヤ。

グッズ・コーナーにはマグロのぬいぐるみが一番人気的に置いてあるのが、なかなかでした。マグロのぬいぐるみですよ。肌の質感違い過ぎるし。

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出た後は水生生物のゾーンなどを軽く見てから、葛西の渚を見学。

「泳いじゃダメ」となっていまして、磯遊び用の渚という位置づけです。何でも赤エイが出るのだとか・・・。水はまあ、濁ってますね。

彼方にはTDRや若狭の恐竜ブリッジが遠望でき1406621396751ます。

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そして葛西臨海公園のシンボルとも言える日本最大の観覧車にも乗って、1周17分の展望を楽しみました。

6人乗りのゴンドラですけれど、一人で乗れるもん。

1406640433852ま、北側はスカイツリーはあるけれどあまり面白くないし、西側はビルのシルエットがぼんやりとあるだけで、これも大したことないのです。

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やはり海側のTDR方面や若狭方面の眺めの方が結構でありました。

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2014年7月28日 (月)

しながわ水族館

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京急の大森海岸駅下車の「しながわ水族館」に行ってみました。

生涯初の探訪です。

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品川あたりの東京湾の再現とか、ご当地らしい展示もありました。

円筒状の水槽をぐるぐる回るイワシの群れは、なかなかの見もの(底にアメリカカブトガニがいたりして)。

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大江戸の好きなクラゲ(写真を撮り忘れました)とか、エイトか、アザラシとか、ウミガメとかを結構ちゃんと見られたので満足です。

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アザラシはちょうどショーの時間だったので、見ておきました。

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と言っても「手をたたく(ひれ?)」のと、「輪投げ」程度の芸ですけど、ちゃんと調教のおねえさんの言うことを聞いておりましたよ。

1406556898544ゴマフアザラシが3頭(かな?)いるのです。

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その後には、屋外プールでイルカショー。

客席までミズがバシャバシャ飛んでくるのを、キャーキャー言って楽しむ趣向のショーです。

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見事なイルカジャンプを堪能できました。

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出てからも庭園があったりして、なかなか良い所ですよ。

1406557143529水鳥もいました。

品川の水族館というと、エプソンのアクアスタジアムの方が華々しくて有名ですけど、こちらもなかなか頑張ってます。

無理しない感じが、のんびりしてて、夏休みっぽいのです。

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ヒカリエの「G博」

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渋谷のヒカリエホールで『G博 ゴジラ東京に現る』(~7/29)を見ました。

当日大人1,000円のところヒカリエ館内にバンバン置いてあったチラシを持っていくと800円に割引。それでも多分に映画の宣伝であり、内容も薄いことを考えると、取り過ぎな印象。

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展示品は新作映画で使われた衣装やハリウッド・プレミアの映像、ゴジラの歴史や顔の変遷、過去作のポスターなどですが、いかんせん有料展にしては物量が少ないです。

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場内は撮影禁止なんですが、1ヶ所だけ撮影OKポイントがありまして、大型のゴジラ(ゴジラ・ミレニアム型)を写せます。

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あと会場を出た所には、純金のゴジラ像(1億5,000万円)がガラスケース内に鎮座していました。

物販コーナーの品ぞろえもイマイチだったし、正直残念感を禁じ得ない大江戸なのでした。

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2014年7月27日 (日)

「GODZILLA ゴジラ」:かっけー! でっけー!

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映画『GODZILLA ゴジラ』を3D字幕版で観ました。3Dを意識した絵作りをしているなんて読んだもので・・・。結果は、2Dでもオッケーでした。

いやー、ゴジラかっけー。ゴジラでっけー。 もうそれでいいや、少々かったるい展開でも・・・って感じです。

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まさに怪獣映画の定石を外しません。前兆や、登場人物たちや、小出しのチラリズムや・・・。2時間3分の作品で、ゴジラが登場するのが1時間経ったあたり。そこからも特に「怒涛の展開」になることなく、ゆったりと進みます。まあゴジラの歩みに合わせた「堂々たる展開」と言えばいいのでしょうかね。そんなところも東宝のシリーズに似ているかも知れません。

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悪名高いローランド・エメリッヒ版の『GODZILLA』って、小生は結構好きでして、あれ「素速いトカゲ」的な威厳のない造形はバツでしたが、展開や見せ方はかなり面白かったと思うんですよね。ビル街から巨大なものが出てくるVFXなど、素晴らしいものでしたもん。

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本作では、1954年の日本版第1作にリスペクトを捧げるかのように、原子力(放射能)が大きなキーワードになっていますし、日本から始まる物語になっています。それにしても原発の町が「ジャンジラ」って、変な名前!日本語的じゃないなー。絵的にも日本の風景に見えないし。 渡辺謙が懐中時計を「広島の原爆に遭った父の形見」だと言うのも、ちょっと計算が合わない=1945年だから、仮に彼がまだ母の胎内にいて生まれたのが翌46年だとしても、現在68歳になってしまう とかのツッコミ所もいくつかあるんですけど、まあいいや。

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前情報が無かった「ムートー」って怪獣(しかも2体)が出てくるのにびっくり。こいつって、ギャオスにちょっと似た所がありますし、エヴァンゲリオンのシトにこんなのいませんでしたっけ?ってか、エヴァのビースト・モードってこんな感じ入ってません?

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アメリカ人体型なのか頭小さめのゴジラ、威厳があって強そうでいいんですが、もうちょっとちゃんとした「見得」を切って欲しかったなあ。スターなんですから。ちょっとカット尻が短すぎます。平成ガメラなんかは、ちゃんと見得切ってくれてましたよ。 それと鳴き声、あの「ギャワーーーんあ」の最後の「んあ」がないんですよねー。「んあ」あってこそのゴジラなのに。

でも青白い放射線を吐いてくれたのは、良かったです。それでこそ千両役者です。 続編が作られて、それにはラドンやモスラやキングギドラも出るそうなので、すっげー期待できますね! 楽しみ楽しみ。

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TOHOシネマズ日劇1の片隅にはこんなゴジラさんが鎮座なさってました。これはお1406453798050なじみの東宝ゴジラですね。安定感のあるカッコ良さです。

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2014年7月26日 (土)

湘南2-0富山&新加入樋口選手

1406380650297Shonan BMWスタジアム平塚で、湘南ベルマーレvs.カターレ富山を観戦。5分(ウェリントン)と86分(樋口)とういう最初と最後の得点により、ベルマーレが2-0と勝利しました。これで今期は22勝1敗。

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カターレのサポーター、ご覧のようにコアな人たちは30-40人程で、かなり厳しい状況。しかし、ここにいる人こそが真のサポーターです。えらいなあ。

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湘南は恒例の7月限定七夕ユニフォーム。例年は黒で、これ着ると負けてばかりだったのですが、今年は蛍光イエロー。おかげできっちり勝てました(前節も)。

数日前に清水から新加入の樋口寛規選手が81分に交代出場すると、すぐに惜しいチャンス。シュートはポストに嫌われました。でもその直後の86分に三竿のクロスに滑り込んで合わせて、初得点! いやー、「持ってる」んでしょうか? 今後も期待しちゃいましょう。

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写真はロンドさんの横で40番樋口選手にマイクを向けるアシスタント・ナビゲイターの相澤香純さん。

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ベルマーレクイーンもキングベルと一緒に大喜びです。

ただ終了後にも彼女たちはもう一仕事。

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「アンバーエール」っていうビールの一種を買ってもらおうと、宣伝していらっしゃいました。

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ホーム無敗の彼女たち。働き者です。

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2014年7月25日 (金)

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」:よくぞ公開できました

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映画『エスケイプ・フロム・トゥモロー』は、東京ではTOHOシネマズ日劇の7:40P.M.の回のみで公開中ですが、そんな小規模とは言えまあよく公開できたものです。しかも一番大きなスクリーンの日劇1で(まあ、これはポケモン映画を夜上映しても意味がないからという理由なのですけど)。だって、フロリダのディズニーランドでかなりの分量のシーンを隠し撮り(と言っても隠れてないですけど)していますから。ミッキーやプルートなんかも写ってますけど、ホントにいいんでしょうか? あの権利関係にうるさいディズニー社が、よく黙って公開させているもんだと驚いちゃいました。

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全編モノクロ映像なのですが、なんか不穏で不気味ですよね。それにしても園内で撮影してても気づかれないような家族レベルの小さいカメラだったのでしょうけど、それでいて大スクリーンで見てもこれだけしっかりした絵が撮れているってのは、テクノロジーの進化ですねえ。でも園内以外のシーンとのルックの統一とか、光と影の用い方とか、実にキチンと構築された絵なんです。撮影監督の腕が良かったんでしょうねえ。

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主人公というか、しょーもないダンナが、なんだか思いっきりくたびれたトム・クルーズみたいです。こいつがディズニーランドに家族と来てるくせに、エロい妄想ばっかりであきれた奴でして。 (以降ネタバレあり) で、最後には猫インフルエンザに罹って死んじゃうのですが、その死に顔が「チェシャ猫」! そうか、そう考えると彼にとっての「不思議の国」だったんですかね? マッド・ハッターと言うべき博士からヘンな帽子?かぶせられちゃいますし。 彼はディズニーランドにふさわしくない異分子だったんで、排除されちゃいました。そう、DL内の床にゴミがあると、キャストがやって来てすぐに掃き去るように。

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この監督って、きっとデイヴィッド・リンチが好きなんだろうなーって感じました。でも、リンチの人並外れた才能や異様さはありません。悪夢感が、いかにも「作った」感じに留まっちゃってて・・・。

1時間30分の映画なのに、1時間経ったところで「INTERMISSION(休憩)」の字幕が入って、笑えました(別に本当に休憩にはならないのですが)。

それにしても本場ディズニーランドって、東京ディズニーランドと一緒なんですねー。ああ、あれも一緒だこれも一緒だと、感心してしまいましたよ。一緒になるように作ったんだから、当たり前なんですけどね。

 

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2014年7月24日 (木)

きゃりーぱみゅぱみゅの『ピカピカふぁんたじん』

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先日発売された、きゃりーぱみゅぱみゅのニューアルバム『ピカピカふぁんたじん』。もちろん初回限定版DVD付(Aバージョン)を予約購入しておりますよ。「ファンタジーな人」だから「ふぁんたじん」なんですよ。

外ジャケット(および写真集ブックレット表紙)はカメレオンを腕に乗せたカメレオン的レインボー・ヘアーのきゃりーちゃん。全12曲は、今回もすべて中田ヤスタカが手掛けています。相変わらず質が高いっす。

序盤戦に『きらきらキラー』、『もったいないとらんど』などのシングルヒットを連打し、中盤以降はいろんな試みをやってみるというこれまでのアルバムの方法論を今回も踏襲しています。

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『ゆめのはじまりんりん』はアルバム・ミックス。いいですよねー。卒業式ソングとして、長く愛されてほしいなあ。 『シリアスひとみ』は、「ひとみシリアス」という歌詞が示す通り「人見知り」の歌だっていうんだから、笑っちゃいます。全国の仁美さんや瞳さんの歌でもありますね。

内ジャケットは、こんな天使のような子どものようなきゃりーちゃんのご尊顔。菩薩様のようですねー、と思ったら・・・、

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裏側はこんなんでした。トホホ、いや、さすがです。

おまけのDVDには「なんだこれくしょんワールド・ツアー」で、カナダやら何やらに行った時の舞台裏やオフショットの映像が収められておりました。やっぱりきゃりーは国際競争力のある優秀な日本製品ですね。 うーん、見ていたら久々にライヴに行きたくなってしまいました。

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2014年7月23日 (水)

品川と日比谷のゴジラ

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おとといミッドタウンのゴジラをご紹介したので、今日は別の所を・・・。

まずは品川(というよりは北品川の海寄りなのですが)にある「一龍屋台村」の入口に鎮座するゴジラ。

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東宝の1960年代後半の、正義の味方路線の頃のゴジラでしょうね。

アップはかなりの迫力ですが、像自体は大人の背丈よりも低めです。

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後ろ姿もよく出来ています。多少の哀愁もあって。

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なぜか小ゴジラが同ポーズで後ろについてます。 

小ゴジラは決してミニラではありません。ゴジラのまんま小さいのです。

こうして見ると、色がメカゴジラっぽいですね。

なぜlここにあるかっていうと、昭和29(1954)年の『ゴジラ』第1作において、ゴジラが東京に初めて上陸した場所がこのあたり(八重山橋付近の海)だからなんですって。

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それでもってこちらは、本家本元のゴジラ像。

日比谷のシャンテ広場にあるんですけど、(台座を除いた)高さ1m程度で、かなり小さいものなんですよね。

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でもやっぱり「怪獣王」! 威風堂々としていて、かっこいいのです。

本当は「ガメラ」派の大江戸としては、ガメラの像も欲しいところです。調布の角川大映撮影所前には、大魔神像ならあるんですけどねえ。

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ちなみに小生の保有しているガメラ像は、ゴジラ像よりも断然でかいのであります。

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2014年7月22日 (火)

「複製された男」:驚愕のラスト!世紀の怪作!

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(多少のネタバレあり) 映画『複製された男』のラストには、心底驚きました。あまりに想定不可能な光景に、声が出るほどビックリしましたし、あまりのシュールさにぶっとびました。笑いたくなるほど。足下の地面を急に取り払われてしまったかのような感覚。今後映画史に「想像を絶するラスト」として、永くその名を刻んでいくことになるのでしょう。

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しかもそのラストのおかげで、それまで1時間半近く観てきたこの作品(上映時間90分)が、180度ひっくり返ってしまうのです。ラストシーンは、その「反芻行為」の始まりに過ぎません。いくつもの謎やメタファーに満ちたこの映画は、観終わってからも「鑑賞」が続いて行くのです。そういった意味で、本作の劇場プログラムは秀逸です。片側から見ていくと、真ん中の綴じページ以降は文字や図版がさかさまになっている。つまり180度ひっくり返った両表紙スタイルで、真ん中ページで出合う形なのです。作品の内容を見事に反映したデザインとなっています。

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それにしてもドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と同じカナダ出身のデイヴィッド・クローネンバーグやアトム・エゴヤンのような冷えた空気と無機質な悪夢のような狂気が感じられます。特にクローネンバーグの諸作との符合--ビデオ(本作はDVDですが)、双子(本作は双子ではないのですが)、自動車事故、蜘蛛 など--には、偶然を超えたサムシングを感じてしまいます。

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いやー、こんなヘンな映画、かなりスレた映画ファンの大江戸にしてもちょっと記憶にないほどの衝撃です。まあ「不条理劇」と言ってしまえば、それはそれで収まりがいいのですけれど、なんかそれ以上に「映画の新しい次元を構築しようとする試み」のようにも思え、いろんな意味で「2回目を観たくなる映画」には違いありません。ま、それ以前に、一度観て降参しちゃった人、ブーイングを浴びせる人の方が圧倒的に多い気もいたしますけどね。

この世紀の怪作、小生は支持します!

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2014年7月21日 (月)

ミッドタウンのゴジラ(昼篇)

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7/18-8/31まで東京ミッドタウンにゴジラが出現!って言うんで、行ってまいりました。

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いやー、あのミッドタウン裏の芝生に堂々たるゴジラの上半身が生えてました。

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その周囲では、祝日の午後の陽ざしを浴びて、家族連れやカップルやいろんな人たちが寝そべったり、写真を撮ったりと、ピースフルな光景です。

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なかなかいいサイズですよ、ゴジラ。巨大とはいきませんけど高さ6.6mだそうで、近くによると結構な迫力です。

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実物の1/7スケールってことなんですけど(半分は土中ですから)、うーん、そう考えると本物はデカイですねー。

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いやー、いいもの見せていただきました。

これ、18時-23時の夜間タイムには、ライトアップされて、しかも19-21時には30分に1回、光線とミストと音を使った特別演出が行われるそうです。期間中に夜も来よう!と心に決めた大江戸なのでした。

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2014年7月20日 (日)

「ジゴロ・イン・ニューヨーク」:実に「アレン的」な佳品

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映画『ジゴロ・イン・ニューヨーク』は、ジョン・タトゥーロ久々の監督作品=第3作(脚本&主演も)。ウディ・アレンを客演に迎えて、アレン調のNY艶笑ラブコメディに挑みました。いい仕事になりました。ジョン・タトゥーロの演出が達者です(芝居も)。

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冒頭からずっとブルックリンにおける敬虔なユダヤ教のコミュニティーが舞台になっているので、これってウディの世界じゃんと思いきや、ブルックリンのここらへんはイタリア系ジョン・タトゥーロのホーム・グラウンドでもあったようです。それにしても“いつもながら”の俳優アレンといい、この笑いとペーソスの物語といい、ネイティブ的に捉えたニューヨークの風景といい、小粋なジャズといい、もうほとんどウディ・アレン作品といった趣きになっております。いや、近年のアレン作品よりもずっとアレン的だということができるでしょう。

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ユダヤ社会のあれこれ、ラビだとか黒服だとかヒゲだとか割礼だとかコーシャー(ユダヤ律法が認める作り方で処理した食品や食肉)だとかをある程度知っていた方が、より楽しめる作品だと思います。

タトゥーロが表情をほとんど変えない「デッドパン」(バスター・キートンのような)演技で押し通し、野暮ったさとセクシーさとイノセンスとを同時に成り立たせました。そういえば、本作でのアレンとタトゥーロのコンビって、男娼とポン引きってところも背の高さ/低さも、『真夜中のカーボーイ』のダスティン・ホフマン&ジョン・ヴォイトと同じですよね。

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90分という短さも、アレン作品を見習ったかのようで、この小品に似合ったサイズ。美術、衣装、音楽など全てにわたってセンスの良さが感じられるのも、ジョン・タトゥーロ監督のお手柄でしょう。

そしてヴァネッサ・パラディがじわりと効いていました。アレン作品の系譜の中で例えると、ミア・ファーロー的な味わいを出していたと思います。

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2014年7月19日 (土)

縦長動画の柱広告

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最近大きな駅のコンコースなどでやたらとよく見かける大きな動画映像広告。デジタル・サイネージって言うらしいんですけど、かなり目を惹きますよね。これ、柱に設置してある中で大きな画像面積を得ようしているので、当然の帰結として縦長サイズになりますよね。昔は静止画像でしたけど、今は多くが動画になっています。で、この縦長サイズの動画ってのは、結構革命的なことだと思うのです。

爾来、TVや映画の画面が横長サイズだったのは、人間の目が横に二つ並んでて、そのために視野が横長だからって理由だったのですが、ここはあえて縦長です。なので、見る方としても新鮮です。

ここで言いたいのは、このサイズの動画を作っていくことの難しさと革命性について。たぶん業界内では「何を今さら」な話題なのでしょうし、既に確立されてい1405670759742る事柄なのかも知れませんが、素人目にはえらく大変そうに思うのです。

従来紙媒体のグラフィックには新聞広告からパンフレットからDMから、それなりに縦位置のものってありました。でも動画の場合、映画にしてもTVにしても先程述べたように横位置でして、そもそも撮影用のキャメラは横位置で撮るように出来ています。

それを縦長動画にしなければいけないのですから、それ用のキャメラ(レンズに縦長用のマスキングをするとか)なのか?あるいはすべて編集段階での作業なのか? そうだとしたら、フレームの中の多くの部分を捨てることになるので解像度の問題も出て来るでしょうし・・・。うーん、素人にはわかりません。 編集もまた今までとは違う新しいことに取り組んでいるわけですよね。

1405670745712それにしても、雑誌の表紙やB1サイズのポスターなど従来の縦長広告よりももっと縦長なフレームの中での動画って、目に新鮮です。そう、スマホの画面比率に近いものがありますね(まあ、スマホで表示されるユーチューブなどの動画は横長なのですけど)。

この人間の全身がうまく収まるようなフォーマットで、縦の構図を上手に使いながらの演出やレイアウトって、従来のムービーの常識になかった世界です。撮影に関する教育から編集に関する教育から、全てが新しいことにチャレンジするパイオニア的な時期なのです。

そんな中で時々上手に縦構図を使っているのを見ると、けっこう感心してしまう大江戸なのでした。

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2014年7月17日 (木)

「青天の霹靂」:感覚がベタで古くて・・・

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映画『青天の霹靂』は、劇団ひとりの初監督作品ですが、間違えて『陰日向に咲く』を撮っていたのかと思ってました。でもあちらは原作だけで、監督は平川雄一朗さんでした。でも売れない芸人は出てくるし、(意図的であるにせよ)ベタで古い感覚だし、似てます。かと言って、その古さが郷愁やクラシカルな良さにはなっていないんですよねー。

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不満は時代考証にも。1973(昭和48)年が舞台だというのに、美術にせよ衣装にせよ、その5~10年ぐらい前の感覚のものが多々含まれています(むしろそっちが主流)。ひとりさんは'77年生まれなので、誰かしっかり面倒見てあげなきゃいけなかったんじゃないでしょうか?

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ひとり監督の感覚は、よく言えば「ソツが無い」、悪く言うと「あまりにもベタで普通で、冒険心が無い」ってところでしょうか。過去に見たいろんなものをつなぎ合わせたような物語と、よくあるタイプの演出。きっとそういうのが好きなんでしょうけど、観てるこちらとしてはちょっと物足りないのです。ところどころカット尻が長かったり、たっぷり芝居させ過ぎてたりするのも気になりました。

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想い出の父母をめぐるタイムスリップものってことで言えば、『地下鉄(メトロ)に乗って』や『異人たちとの夏』を思い出しますが、そうすると風間杜夫が出てるってのは『異人たち』への目配せなんですかねえ。

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2014年7月16日 (水)

「her 世界でひとつの彼女」:恋愛と心を哲学する

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映画『her 世界でひとつの彼女』の映像において、嫌でも目に残るのはホアキン・フェニックスの服やオフィスのパーテーションやPCの画像などに使われているヴィヴィッドなオレンジっぽい赤=緋色=scarlet→ああ、本作のヒロインとも呼ぶべきOSの声を担当しているスカーレット・ヨハンソン(ジョハンソン)の肉体的不在を補うスパイク・ジョーンズ監督ならではの洒落っ気なのでしょうね。それにしてもいい色なんだ、これが。

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ホアキン・フェニックスがこのタイプの役をやるってのは、ちょっとしたオドロキ。もっとクレイジーな役とか暴力的な役とかの印象が強いもので・・・。夢見るミスター・ロマンティック。'7-80年代のリチャード・ドレイファスみたいな雰囲気がありますね。そういえばドレイファスって消えちゃいましたねー。それと、メガネにヒゲのホアキンって、グルーチョ・マルクスっぽかったりします(笑)。

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スカーレット・ヨハンソンの声で面白いのは、いかにもな電子声とか理想の女性的な声じゃないってところ。ちょっとガラガラと枯れてて、はすっぱに近いほどのカジュアル感を漂わせていて、むしろ電子ヴォイスにしてはナマナマし過ぎる感じ。まあ、その線を狙ったのでしょうけれど・・・。

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恋愛感情とか人間の心とかを突きつめて考えていった物語には、これからの時代を考察する哲学性が感じられます。ちょっと奇異なシチェーションから始まって、普遍的な本質に至るのです。

ラストの「高層ビルの夜景を見つめてベンチに座っている後ろ姿の男と女」っていう図は、ウディ・アレンの『マンハッタン』を思わせたりもするのでした。あのほろ苦さやシニシズムに較べると、本作はチャーミングに甘口なんですけどね。

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2014年7月14日 (月)

ドイツの優勝でW杯閉幕

FIFAワールドカップ・ブラジル大会の決勝、ドイツーアルゼンチンは決勝にふさわしい緊迫した展開の中、延長後半のゲッツェのゴールで1-0とドイツが勝利。東西統一後では初の優勝となりました。おめでとうございます!

正直ドイツがあそこまで手こずるとは思っていませんでした。やはりアルゼンチンの守備は極めて質が高く、なかなかこじあけられません。 そういえば大会MVP(ゴールデン・ボール賞)にメッシが選ばれましたけど、表彰式の時に「俺じゃないだろ」ってな表情で居心地悪そうでした。確かにマスケラーノがもらった方が妥当ですよね。ドイツから選ぶのならむしろノイアーですが、ベストGK賞(ゴールデン・グラヴ賞)の候補になっていたためか、ノミネートされていませんでした。そもそもこの投票が決勝戦の前に行われるってのが、よろしくないなあ。大江戸が選ぶとしたらロッベンかノイアーでしょうね。

それにしてもドイツのゴールは見事。左サイドでDF2人の間を通してシュルレがギリギリのクロス、それをゲッツェが胸トラップからのボレーという非常に高い技術を見せました。二人は交代で入ったプレイヤー。そしてシュルレ23歳、ゲッツェ22歳、世界はこのぐらいの年齢で十分に主力だったり大活躍したりしています。ネイマールやハメス・ロドリゲスしかりです。なんで日本は23-4じゃまだ若手で、一人前になるのが25-6歳位と遅いんでしょうか?

何にしても、1ヶ月のお祭りは本日で終了。この後は、日本サッカーの基盤となるJリーグを応援、支援しましょうね、皆さん。

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2014年7月13日 (日)

オランダ、23人総出場の3位

FIFAワールドカップ3位決定戦はオランダ3-0ブラジルという結果。オランダが自国史上初の3位となったわけですが、いわゆるトータル・フットボールからの全員サッカーの伝統を崩して5バックでがっちり守って、攻めはロッベンら数人にまかせるという分業式。さらにはメンバーを固定せず、ポリバレントにポジションを変更するというファンハール監督の個性を反映したサッカーで、無敗のまま7試合を終えました(PK戦は引き分け扱い)。

いやー、ロッベン凄かったですね! 速い!強い! 見事なアスリート系フットボーラーであり、かっこいいハゲです! 常に相手の脅威となるプレーをする彼を、考えて見れば準決勝のアルゼンチンはよくぞ押さえたものです。彼にほとんどろくな仕事をさせなかったですもんね。

感動したのは後半アディショナルタイムにオランダが控えのキーパーを投入して、23人全員を使い切ったってこと。ファンハール監督、なかなか粋なことなさる。これって、W杯史上初めてのことなんだそうです。チーム総力戦としての「トータル」フットボールで、3位を勝ち取ったってところでしょう。

ブラジルは「戦術はネイマール」だっただけに、そこが崩れるともろかったです。最後の2試合で、1-10ですから。

さあて、明日はいよいよマッチ・ナンバー64=決勝です! 4時起きです!

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2014年7月12日 (土)

「きゃりーぱみゅぱみゅシネマJOHN!」:映画なのかしらん?

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映画『きゃりーぱみゅぱみゅシネマJOHN!』(映画と言っていいのでしょうかねえ?)は、きゃりーファンなら知っているメ~テレのTV番組『きゃりーぱみゅぱみゅテレビJOHN!』の映画バージョン。上映時間60分なので、大人料金も1,000円です。

制作・撮影はTV同様、監督・脚本家・プロデューサー・カメラマンの4人だってんですから、まあお手軽でデジタルな時代でございます。見ればわかる通り、映画化ってもんに対して何の気負いも幻想も抱いてないようです。まあ映画作品のことも「コンテンツ」と言ってはばからない人々がいる時代なので、しょうがないのでしょうねえ。

本筋だけではもたないので、色々とコントやら企画コーナーやらを入れて、テレビ番組的な作り。まあ、きゃりーがロボットだったという本筋にしてもどうでもいい感じなのですが・・・。

結局何の加工もしていないライブ映像が一番魅力的だってのも、寂しい話ではあります。だったらライブ・ドキュメンタリーにすりゃ良かったじゃん、みたいな。 初日だから熱心なファンが多いだろうに、上映後の微妙な空気は「あちゃー、こんなもんですか?」という観客の心もちを物語っていました。タイトルロール後の「おまけ」も、“寒さ”に拍車をかける感じで・・・。

きゃりーちゃん自体はとてもファンタスティックに魅力的な題材なので、誰か彼女をうまく使ってキチンとした映画を作ってくれませんかねえ、と思う大江戸なのでした。

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2014年7月11日 (金)

「オールド・ボーイ」:韓国版の衝撃に較べちゃうとねえ・・・

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映画『オールド・ボーイ』は、昔日の名声もすっかり消えてしまったスパイク・リーの新作。しかもあのパク・チャヌクのエグイ傑作のハリウッド・リメイクとあって、結構勝ち目の薄そうなチャレンジ。 でも、思ったより良くできていました。とはいえ、元祖には及ぶべくもありませんが。

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やはりあの韓国版の狂気をはらんだ重量級ブレ球のイメージとはちょっと違います。もっと普通にハリウッド・エンタテインメントの枠内です。そういった意味では、非常にコミック的なサミュエル・L・ジャクソンが笑えて面白いのですが、作品のバランスを崩していることも確か。

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バイオレンス・シーンは、ハリウッド作品としては結構ギリギリまでやってるなって感じでした。 また本家からの別の形での引用というか、脚本上のアダプテーションは結構うまくやってるなと感心しました。小さいところでは水槽のタコから、大きいところでは終盤明かされる最大の謎でありタブーであるアレまで・・・。まあ、(結末を知っていたことを割り引いても)韓国版のあの衝撃には全然及ばないのですけどね。

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ジョシュ・ブローリンが序盤すんごい「ゲスの極み野郎」ぶりを見せてくれます。立ちションするは、ゲロ吐くは、・・・とにかく下品が板についている役者です(って、これは褒め言葉なのでしょうか?)。でもこれも、どう考えてもチェ・ミンシクの圧勝なのでした。

とは言っても、あるレベル以上の面白い作品なのですが、これがかなり地味に公開されて案の定お客が入っていないという状況は、寂しくも不幸だと思うのであります。

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2014年7月10日 (木)

オランダ0-0アルゼンチン の不満

W杯準決勝2試合目のオランダvs.アルゼンチン戦は、昨日のブラジルの惨劇を目の当たりにしたせいか、非常に守備重視の慎重な戦いぶり。まあ、こういうのがワールドカップ準決勝の戦い方だよなとは思いますけど、お互いに相手の長所を消して消して、リスクは冒さないというサッカーなので、残念なことにフットボールの美しさや醍醐味まで消し合ってしまったのは歯がゆいところでした。まあ、剣豪同士のつばぜり合いと言うこともできるでしょうけど。

オシム氏あたりだったら、「こういう展開になるのはわかるが、ワールドカップの準決勝でこういう試合をするのはサッカーの未来のためにならない。」とか言いそうですよね。

メッシもロッベンも徹底マークで自由にさせてもらえない、隙が出ない。特にアルゼンチンのガツガツ来るアタッキングな守備には、さしものオランダも手こずり、中盤はかなり時間が経過するまでボールをろくに保持できませんでした。

PKは時の運なのでしょうがないですけれど、残念無念。大江戸としてはドイツーオランダの決勝が見たかったです。でも今大会のオランダは、確かに決勝まで進むチームではなかったのかも知れません(それを言ったら、メッシ頼みのアルゼンチンだってそうなのですが)。 

さてさて3位決定戦で、ブラジルは試合間隔が1日長いメリット(しかも120分対90分)を生かせるのでしょうか? それとも更なる悲劇を上塗りしてしまうのでしょうか?

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2014年7月 9日 (水)

ドイツ7-1ブラジル の驚愕

FIFAワールドカップ準決勝のブラジルvs.ドイツ戦、7-1でドイツの記録的圧勝という誰も予想できなかった結果。ブックメーカーは胴元の総取りでしょう。大江戸は、ネイマールの負傷欠場、チアゴシウバの累積警告による出場停止という状況なしでもドイツは勝つだろうと思っていましたが、ここまでとは・・・。

出だしこそ気合いを入れて「二人の分まで戦って勝つぞ」とぐいぐい押しこんでいたブラジルですが、11分にCKから先制されるとどうにも浮き足立ってしまい、2点目から6分間で4点を流れの中で決められたことに関しては、まったくの白日夢だったという思いでしょう。ただ先制されてからは、(後半の立ち上がりを除いては)足が止まってしまい、フィフィティ-フィフティのボールにチャレンジしなくなってました。どんどん自信が無くなり、「あ、これは取れないな」とばかりにプレスもかけず、セカンドボールにも詰めずで・・・、これではドイツにいいようにやられてしまいます。しかも生半可なシュートはすべてノイアーが防いでくれるわけですし。 

それにしてもドイツの攻撃陣のペナルティエリア内での落ち着きは大したものでした。中途半端なタイミングでは打たずにパスを回して、狙って決める。なかなかできることではありません。もちろん只ならぬ技術に裏打ちされてのことですけれど。

後半43分のブラジルの得点、あの時だけドイツに隙が出ました。その直前にエジルが絶好期を外して、ちょっとみんなで感慨にふけっちゃった感じでした。それ以外は完璧。でも惜しかったなー、7-0の美しさに較べると「画龍点睛を欠く」だよなーなどと思ってしまいました。まあ、大江戸はドイツvs.オランダの決勝を望んでいたクチなので。

でも明らかに質の高いサッカーがここで勝ったということは、フットボールの未来のために良いことに違いないと思うのです。

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2014年7月 8日 (火)

今日の点取占い212

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待ちぼうけになった事がありますか   4点

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2014年7月 7日 (月)

「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」:芦田愛菜を見る映画

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映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』は、一にも二にも芦田愛菜ちゃんを見る映画。『ロッタちゃん』シリーズとか『地下鉄のザジ』とか、ヨーロッパの良質こども映画の匂いがします。愛菜ちゃんも『うさぎドロップ』『パシフィック・リム』と較べて、随分大きくなりました(と言っても、まだ小さいんですけど)。

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彼女の演技が天才的なのは今さら言うまでもありませんが、本作における「こっこ」の「3-40年たったら大阪のユニークなおばちゃん」的なキャラクターを演じるに当たって、イノセンスをどの程度まぶすかをちゃんと計算している(と思われる)あたり、やはり只者ではありません。眉根にしわを寄せた「にらみ顔」を生かすために、「おしるこの塩」みたいに、ちゃんと笑顔を挟み込んでます。 奈良美智の描く不機嫌顔の女の子みたいでもありますね。

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彼女のまわりの友達がきちんと描かれているのも、良いところ。特にのび太のような「ぽっさん」が、いい味出してるし、いいやつです。 こっこの姉である三つ子は一人の女優さん(青山美郷)による三役(合成)だとエンドタイトルを見ててわかって、ぶっとびました。

鼠人間は綾野剛が演じていたら、時空を超えて『うさぎドロップ』にリンクしていったんですけどねえ・・・。

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タイトルでもある「円卓」が、大家族の象徴ぐらいにしか扱われていなかったのがちょっと残念。まあ、日の丸としても扱われてましたけど、強引過ぎて効いてなかったし。 むしろ「イマジン」って言葉は、台詞にはないけれど当然ジョン・レノンの『イマジン』を連想させて、差別や格差や平和への緩やかな広がりを映画に与えていました。

ジャポニカ学習帳とか「蚊の採集」とかの描写も印象的で、頬が緩みました。

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2014年7月 6日 (日)

「オールイ・ユー・ニード・イズ・キル」:ザ・リピーター

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映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は、明らかにビートルズの『All You Need Is Love (愛こそはすべて)』がタイトルの元ネタでしょうが、原作となった日本の小説のタイトルなのですね。でも、文法的には「Kill」じゃダメだよなあ、などとひっかかっていたら、英語題が“Edge of Tomorrow”だったので、スッキリしました。

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(以降ネタバレあり) 何度死んでも生き返ってやり直しという「ループ」が、このギタイというバケモノ相手の戦闘というシチュエーションで出てくると、これはもうコンピューター・ゲーム以外の何ものでもありませんね。毎回同じことをやりながらどんどん進歩していき、少しづつ先へ進める。でゲームオーバーになったら、リセットしてもう一度・・・という世界。こういうゲームを「ゲーム体験」ごと実写映画化した作品と言えるのでしょう。

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それにしてもやだなあ、こんな状況に陥ったら。だって、何度でもやり直すたびに、またコワイ目や痛い目に遭うわけですし、そもそもが同じこと何度も何度もやるのって、超めんどくさそう! 飽きちゃって、死にたくなりそうです。あ、死んでもまたやり直しか・・・。

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演出はさすがにダグ・リーマンだけあって、この状況をわかりやすく的確に観客に提示するその手際が鮮やかです。質の高い娯楽職人です。

ただ根本の部分ではありますが、あまりにもゲーム感覚で人が死に、「リセット」されて生き返って・・・ってあたりには、教育的・道徳的な抵抗を覚えなくもありません。以前、海外のニュースで、ゲームみたいに死んでもまた生き返ると思って、友達だか弟だか妹だかを殺しちゃった子供の話がありましたもんねえ。『渇き。』は好きでも、そこらへんには引っかかっちゃう大江戸なのでした。

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2014年7月 5日 (土)

「DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』:またもや傑作

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これまで大江戸の年間ベストテンでも1位、1位、2位と全てが傑作だったAKBドキュメンタリー映画第4弾『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』は、やはり傑作でした。でも今までのように「ニッポンの今が描かれている」ってことよりもむしろ、「世の中の本質と真実が描かれている」と感じました。

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これまでは毎年1月末~2月頭の公開だったのに、今回は1年半あいて7月頭の公開。その分削ったエピソードも多かったことと思います。大島優子の卒業を大きな縦糸として通して、前作同様「成長と世代交代」を描きこんでいきます。そして相変わらずですが、高橋みなみ総監督の「男前」とリーダーシップが凄すぎます。本作では更に時として「お母さんの顔」も! 彼女には将来「国政」を担ってほしいと、冗談でなく思います。

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たかみなを支える「中間管理職」として、峯岸みなみや松井玲奈や指原莉乃が機能している様子や、新しいメンバーに先輩が社会人マナーのABCを教える様子を見るにつけ、AKBグループって企業社会と似てるよなあと改めて思いました。その最たる部分が「大組閣」という人事異動だったりします。なんともスリリングかつ悲喜こもごもで、涙を誘う見せ場ともなっておりました。

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でもやはり最大の見ものは、大島優子の卒業セレモニー@国立競技場が荒天中止となった舞台裏の様子。ああ無情です。落涙を禁じ得ませんでした。

そして本年5月25日の握手会でのメンバー襲撃事件と、その後の総選挙、味の素スタジアムでの大島優子ファイナルなど直近の出来事までもきっちり入ってます。映画の公開決まってからの出来事ですよねえ。ギリギリまで頑張って編集し直したであろう舞台裏が想像できて、そちらもかなりスリリングです。

それにしても今回は秋元さん、出て来なかったなあ・・・。

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2014年7月 4日 (金)

森永の新作×2

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これ、すんごくおいしかった!! 新発売の森永『Jack アーモンド』。香ばしいロースト・アーモンドのまわりをブラウンシュガーでカラメライズってことで、まあ飴の層をまとったカリカリ感がして、何とも素晴らしい食感。そして決め手は「アップルシナモン」味! いやー、今までなかったですね。アメリカーンな感覚で、甘酸っぱいおいしさがキャラメルと出逢って、ファンタスティックな掛け算効果をスパークさせます。でも好みとしては、もっとシナモンが効いてる方がいいんですけどね。そこは控えめでした。でも衝撃的にうまかったのです。

「ソルティキャラメル」味もあるのですが、大江戸的には興味ありません。でもこの商品、あっという間にコンビニの棚から消えちゃって、見かけないんですよねー。売れ過ぎたのか?売れなかったのか?・・・前者だと思いたい小生です。

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で、こちらは同じ森永でも、古典である「ミルクキャラメル」シリーズの新しい刺客、『マンゴーキャラメル』です。アルフォンソマンゴー使用って書いてあります。風味は、まあ普通にマンゴーですよね。失敗ではないけれど、取り立ててどうのこうの言うほどのこともない味。ま、1回食べればそれでいいかなって感じでした。

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2014年7月 3日 (木)

「渇き。」:劇薬のダメージを覚悟せよ

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映画『渇き。』は、『下妻物語』以来2年ごとに作品を発表して来た中島哲也監督が『告白』以来4年を経て世に問う問題作。『進撃の巨人』実写版が頓挫(というか監督交代での再スタート)しちゃった影響で間があいちゃったんでしょうね。 いやー、コピー通りの「劇薬エンタテインメント」でした。好き嫌い分かれますよねえ、大江戸はもちろん好きですけど。いずれにしても、観る者に重量級のダメージを与えてくれる作品であります。

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R15+ですが、かなりエグくバイオレントです。血が飛んだり、体が切れたりしまくります。まあ血しぶきポップアート的な絵の挿入カット(メインタイトルバック同様の感覚)なんかで衝撃を和らげたりしていますが、こういうのに弱い人には刺激が強いかも知れません。

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でもそういう描写以上に、「愛する娘は、バケモノでした。」っていうコピーの示すような映画なので、そこらへんの心理的なグロテスクが暗く肥大化していく様子の方が、胸に重苦しく淀んでいきます。 そう、あの『ツイン・ピークス』を思わずにはいられませんでした。登場人物のほとんどが秘密を持っていたり、ヤバイ奴だったりってあたりも含めて。

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役所広司は中島監督が言うように、「好感度を下げる」大熱演。かなりの野獣(元)刑事ぶりです。汗とタバコとミドル脂臭と血の匂いが漂ってきそうなアンチ・ヒーローです。 一方の娘役・小松菜奈は「これからは普通の女の子役になっちゃうんだなあ」と思うと残念です。まあ、本作でも外見は普通の女の子なのですけど。 妻夫木聡とオダギリジョーに関しては、「こういう使い方があるんだぁ」と驚きました。特に「へらへら笑い」を絶やさない妻夫木に関しては、本作と(真逆の)『ぼくたちの家族』の2本で、「ただのバカ役者じゃなかったんだぁ。ごめんなさい」と、その演技力にようやく気付きました。終盤の役所とオダギリの対決場面は、ちょっと『太陽を盗んだ男』の沢田研二と菅原文太の対決を思わせる演出や構図もありました。

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カット割りも、ポップな映像の挿入も、音楽も、アクの強い人々も、青春のキラキラ感も、描写の毒気も、みんな中島哲也ならではの世界です。クレイジーで最強です。

(以降ネタバレあり) ラストで、降り積もった白い雪を掘って掘って・・・ってのは、覚醒剤のメタファーだと見ました。さて、どこからどこまでが、暴走オヤジの幻影だったのやら・・・。

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2014年7月 2日 (水)

「ノア 約束の舟」:ハムくんがしょーもない

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映画『ノア 約束の舟』は、「ノアの方舟」を初めてキチンと映画化した作品なのだとか。なるほど、ジョン・ヒューストン監督の『天地創造』('66)においても、数あるエピソードの一つという扱いでしたからね。

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それにしても“Watcher”と呼ばれる岩石人間の登場にはぶっとびました。ほとんどトランスフォーマーじゃん。で、こいつらが戦ってる分にはまだいいのですが、方舟作りの大工仕事を始めるんですから笑っちゃいます。あの「絵」はなかなか衝撃的でした。パロディーじゃないんですから・・・。 それと、「方舟(はこぶね)」が確かにハコっぽい形なのでありました。

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衣装とか髪形とかメイクとかがかなり現代的なのも、ちょっと興ざめですね。ハーマイオニー、いやエマ・ワトソン、小ぎれい過ぎますよね。旦那役もロックスターみたいですし。

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ラッセル・クロウが妄執に取り憑かれるあたりの「黒さ」が、いかにもダーレン・アロノフスキー監督です。

そして次男坊のハムくんが、とってもしょーもない奴で、その中途半端な屈折やら嫉妬やら八つ当たりやら裏切りやら再度の半端な寝返りやら・・・、まあ各種コンプレックスをこじらせた感じが、見るに堪えませんでした。こいつの血が混じってるんで、後世のあなたや私も多分にしょーもない奴なんでしょうかねえ。

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2014年7月 1日 (火)

「春を背負って」:教育映画風の優しさ

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映画『春を背負って』は、木村大作監督作品第2弾。なぜあの激しい気性の木村さんからこんな優しい映画が出てくるのか不思議に思っちゃいます。それぐらい、古めかしいまでにまっすぐで、ヒューマンな優しさに溢れた作品に仕上がっていました。昔の「教育映画」みたいな感覚すら漂っておりました。

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でも、都会のトレーダーは、コンピューターを相手にした非人間的世界だからダメ、山の暮らしはとっても人間的で素晴らしい、とする昔風のシンプル過ぎる思想は、さすがにいかがなものかと思いました。いくらなんでも、ちょっと単細胞すぎやしませんかねえ?

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まあ松山ケンイチも豊川悦司も適材適所なのですが、蒼井優が終始不自然なまでに笑顔を絶やさない山ガール?でして、さすがにリアリティが欠如したキャラクターではないかと思いました(まあ彼女の「過去」も入れたりしているのですが、ちょっと「取ってつけた」感じでして)。でも彼女がアウトドアで短髪をシャンプーして泡立てている場面は(予告の時から思いましたが)、なかなか新鮮な絵で良かったですね。

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(以降ネタバレあり) でもラストで松山と蒼井が手を取り合って笑いながらぐるんぐるん回る場面には、さすがに「ひえ~っ」と椅子からずり落ちそうになりました。今どきこんな描写って、何かのパロディー以外にはないですよねえ。まあパロディーだったら、二人が回った拍子に谷底に落っこったりしちゃうんでしょうけど・・・。

あと、山小屋の場面で、木村大作さんがちらっとだけ写ってましたね。瞬間の穏やかな顔が、好々爺風でした。

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