「春を背負って」:教育映画風の優しさ
映画『春を背負って』は、木村大作監督作品第2弾。なぜあの激しい気性の木村さんからこんな優しい映画が出てくるのか不思議に思っちゃいます。それぐらい、古めかしいまでにまっすぐで、ヒューマンな優しさに溢れた作品に仕上がっていました。昔の「教育映画」みたいな感覚すら漂っておりました。
でも、都会のトレーダーは、コンピューターを相手にした非人間的世界だからダメ、山の暮らしはとっても人間的で素晴らしい、とする昔風のシンプル過ぎる思想は、さすがにいかがなものかと思いました。いくらなんでも、ちょっと単細胞すぎやしませんかねえ?
まあ松山ケンイチも豊川悦司も適材適所なのですが、蒼井優が終始不自然なまでに笑顔を絶やさない山ガール?でして、さすがにリアリティが欠如したキャラクターではないかと思いました(まあ彼女の「過去」も入れたりしているのですが、ちょっと「取ってつけた」感じでして)。でも彼女がアウトドアで短髪をシャンプーして泡立てている場面は(予告の時から思いましたが)、なかなか新鮮な絵で良かったですね。
(以降ネタバレあり) でもラストで松山と蒼井が手を取り合って笑いながらぐるんぐるん回る場面には、さすがに「ひえ~っ」と椅子からずり落ちそうになりました。今どきこんな描写って、何かのパロディー以外にはないですよねえ。まあパロディーだったら、二人が回った拍子に谷底に落っこったりしちゃうんでしょうけど・・・。
あと、山小屋の場面で、木村大作さんがちらっとだけ写ってましたね。瞬間の穏やかな顔が、好々爺風でした。
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