「LUCY ルーシー」:荒唐無稽で笑えます
映画『LUCY ルーシー』は映画監督廃業宣言がいつの間にやらなかったことになっているかのようなリュック・ベッソン監督作品。まあ確かに戦闘系女性“ヒーロー”映画が大好きな人だから、このネタは自分で撮りたかったのでしょうけど、いやー、かなりの怪作です。
序盤の娯楽映画としてのキレの良さはさすがだったのですが、段々とおかしなことになっていきました。だって、脳が覚醒して未使用領域まで使うようになるほどに、超能力者になっていくってのは・・・頭脳を10%程度しか使用していない凡人には、とても理解が及びません。しかもその能力ってのが、「髪形がいきなり変わる」とか「相手の武器を天井に吸い上げる」とか、あまりにも頭脳の活性化と無関係なものなので、観ている方としては唖然とするしかありません。へんなの。
(以降ネタバレあり) クライマックスにはルーシーがなんだかうにょうにょした黒い物体(次世代のコンピューターなのだとか)と同体になったり、もうやりたい放題。さらにその後には、タイムマシン人間になって、過去へ過去へとさかのぼるという超絶展開。しかもなぜか人類の祖先の方が恐竜より古い年代に出てくるし。人類の祖先とミケランジェロの『アダムの創造』(指と指をくっつける)をやっちゃって、知恵を伝授するというタイム・パラドックスも入れ込んじゃうし。また全編を通して挿入される『ナショナル・ジオグラフィック』的生物映像なんか見てると、ベッソンはエド・ウッドになっちゃったのか?と思わざるを得ませんでした。
でもロケットランチャー(? あまり武器の名前を知らぬので間違ってたらゴメン)でドアを吹っ飛ばすとか、チェ・ミンシクがどことなくゲイリー・オールドマンの悪徳刑事を思わせるとかの『レオン』的場面にニヤリとしちゃったりもしました。
まあある時点以降のすべてが合成麻薬によるいまわの際の幻覚だっていう解釈も成り立つのでしょうから、この荒唐無稽ワールドもとりあえず笑って許してあげちゃいましょうかねえ。
それにしても最近1時間半前後の作品がやけに多いですねえ(本作も89分)。大江戸は歓迎しますよ、コンパクトでムダの少ない作品。ハシゴもしやすいですし。
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