「2つ目の窓」:吉永淳が羽ばたきます
映画『2つ目の窓』は、セミドキュメンタリーに近いタッチで人間の生と死と自然を対比させるという、いかにも河瀬直美監督らしい作品。 少年と少女を現代の神話的ニュアンスで描いています。
とにかく主演の二人、特に少女役の吉永淳がみずみずしくって、素晴らしいです。ちょっと早見優を彷彿とさせます。でもピュアでリアルな感覚は『翔んだカップル』の薬師丸ひろ子を連想させます(色黒だし)。そういえば、本作も『翔んだカップル』も自転車の印象的なシーンがありますね。 劇場用デビュー作『萌の朱雀』で尾野真千子を見出した河瀬監督だけに、吉永さんもきっと立派な女優に育っていくんだろうなあと感じました。
ちょっと観念的に成り過ぎてしまうのも、いつもの河瀬直美なんですけど、吉永さんのピュアな魅力がそこらをカバーしています。とにかく、女の子と男の子が奄美の青い海をハダカで泳ぐ美しい映像を見せられたら、これはもう降参です。でもあの場面って、死が遠くない常田富士男の夢想かも・・・って気もしちゃいますね。
杉本哲太の顔が、今まで見たことのない慈愛に満ちた「いい顔」でした。なんか村上春樹さんみたいなニュアンスの・・・。縁側での杉本、松田美由紀、吉永という一家3人のナチュラルな場面、良いですねー。
それにしても(多くの人が指摘しておりますが)、この『2つ目の窓』ってタイトル、わかりにくいですよねー。まあ、ここにも河瀬さんの特徴が出ているってことなのですけれど(『萌の朱雀』とか『殯(もがり)の森』とか『朱花(はねづ)の月』とか・・・)。
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