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2014年8月21日 (木)

「罪の手ざわり」:怒りと暴力

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映画『罪の手ざわり』は、ジャ・ジャンク-監督作品。あの淡々とドキュメンタリー風だった『長江哀歌』に較べると、随分毛色の違うハード&ヴァイオレントな作品です。血もドバドバ出ます。これ最初に公開されたのはBunkamuraル・シネマだったのですが、あの「松濤夫人」とでも命名できそうな上品なお客様方は、本作にどう反応したものかさぞや戸惑ったことでしょう。

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経済=金が民族の培ってきた美風を破壊するというのは、どこの国でも言えることでしょうが、こと中国に関してはあまりに歪(いびつ)な形での急激な経済発展と、都会のIT層を中心とした冨の偏りによって、かなりとんでもないことになっていることは、断片的な情報からでも容易に想像がつきます。

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実際の事件をもとにしたという4つのエピソードを通してジャ・ジャンクーが描き出す絶望寸前の怒りは、突発的でリアルな暴力として暴発します。中国の現在への嘆きと憤怒が、街頭で演じられる京劇の台詞を寓意として用いながら、人間世界の普遍的なものへと昇華しているのです。

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貧しく馬鹿にされている炭坑作業員のエピソードは、抑圧の果ての暴発と狂気においてキューブリックの『フルメタル・ジャケット』前半のエピソードを連想しました。

寡黙で無愛想かつスタイリッシュなテイストと突発的でリアルな暴力性において、さすがはオフィス北野が関与した作品だなあと、妙に納得してしまった大江戸なのでありました。

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 『罪の手ざわり』を渋谷ル・シネマで見ました。 (1)予告編で面白そうだったので、このところ敬遠気味の中国映画ですが、映画館に行ってきました。  本作(注1)は、中国社会が現在抱えている社会問題を背景にした事件が描かれる4話からなる作品ながら、4つの話が絶妙...... [続きを読む]

受信: 2014年8月22日 (金) 05時27分

» 罪の手ざわり ★★★ [パピとママ映画のblog]
『長江哀歌(エレジー)』などで世界的に評価の高いジャ・ジャンクー監督が、実際の事件を基に変化を遂げる中国で必死に生きる人たちを描くヒューマンドラマ。実業家に利益を吸い上げられてきた山西省の炭鉱作業員、職を転々としながらホステスとの恋に苦悩する広東省の若者...... [続きを読む]

受信: 2014年8月23日 (土) 18時46分

» 「罪の手ざわり」 [ここなつ映画レビュー]
私はジャ・ジャンクー監督の作品は初見なので、テイストについてはよく判らないのだが…読み解くのが難しかった。というより、もやもやした気持ちが残る。このもやもや感は、それぞれの物語のパーツがどのように進んでいるのか?その時系列は?などが完璧には理解できなかった一種のフラストレーションだけが原因ではなくて、「罪」の概念…いや、そもそも「罪」の意識というものはある人にとっては何をしても全く感じられず、ある人にとってはそんな事で、というような事で苦悩するもので、それはモラルというものにも繋がって行くものだとい... [続きを読む]

受信: 2014年8月27日 (水) 17時25分

» 『罪の手ざわり』 (2013) / 中国・日本 [Nice One!! @goo]
原題: 天注定 A Touch of Sin 監督: ジャ・ジャンクー 出演: チャオ・タオ 、チアン・ウー 、ワン・バオチャン 、ルオ・ランシャン 、チャン・ジャーイー 、リー・モン 鑑賞劇場: Bunkamura ル・シネマ 公式サイトはこちら。 急激に変化していく中国現代...... [続きを読む]

受信: 2014年9月 1日 (月) 07時40分

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