「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」:ケン・ラッセルが生きてたらなあ
映画『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』のエンド・クレジットの最期には「ケン・ラッセルに捧ぐ」という献辞が置かれていますが、むしろケン・ラッセルに撮ってほしかった作品ですね(2011年に他界しているので、そう言っても詮無きことなのですが)。 『エルガー~ある作曲家の肖像~』、『『ソング・オブ・サマー』(デリアス)、恋人たちの曲<悲愴>』(チャイコフスキー)、『マーラー』、『リストマニア』と、クラシックの音楽家とその狂気を過激に描き続けてきたラッセルに、ピッタリすぎるほどピッタリの題材です。ロジャー・ダルトリーのパガニーニに、オリバー・リードのウルバーニなんて、アリじゃないですか! 本作の原題が“The Devil's Violinist”だというのも、ラッセルの『肉体の悪魔』(“The Devils”)を意識したようで・・・。
まあラッセルの毒気たっぷりの、人によっては「トゥー・マッチ」と感じて受け容れない個性、過剰な映像の爆発に較べると、本作のバーナード・ローズ監督はお行儀良くてたかが知れているって感じ。『不滅の恋 ベートーヴェン』もそうでしたが、ある程度現代的にアレンジしても、まあ常識的な範囲内ってところ。小生などには、そこが何ともつまらないのです。
とは言え当代一のカリスマ・ヴァイオリニストであるデイヴィッド・ギャレットを主演に据えた時点で、この作品はOKとなりました。超絶プレイを見せる演奏シーンの凄さで、大抵のことは許されてしまいます。でも彼を元祖ロック・スターとして描いているのですが、そこらも物足りないというか・・・。ラッセルだったら、この人物をハチャメチャにいじり倒していたでしょうねえ。まあ本作は、制作総指揮の一人がデイヴィッド・ギャレットなので、普通にカッコ良く作らなきゃダメだったのでしょうけれど。
あの、ヘルムート・バーガーが出ていたことにエンドロールで気がついてビックリ。後から調べ直して、またビックリ。あのロンドンの興業出資者様でしたかあ。人間は年を取り、変化していくものなのですね。ああ無常。
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コメント
こんにちは☆
TBしていただいてありがとうございます。
返礼TBをさせていただこうと思いましたが
できなかったので、すみません。
出来るときに、させてくださいませ。
ではでは☆よろしくお願いします。
投稿: yutake☆イヴ | 2014年8月18日 (月) 15時40分
yutake☆イヴさん、ご丁寧にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: 大江戸時夫 | 2014年8月18日 (月) 17時31分