「TOKYO TRIBE」:亮平以外は意外とマイルド
映画『TOKYO TRIBE』は、全編台詞を含めてまるまる和製ラップ・ミュージカル(オペレッタ?)ってことで、ああ、『鴛鴦歌合戦』じゃあーりませんか。そうか、開巻で「日活マーク」が出た時点で気付くべきでしたね(『鴛鴦~』も日活)。 ヒミズこと染谷将太をMCショウという名の狂言回しにして、物語を回していきます。
企画としてののぶっとび方の一方で、ギラギラしたゲテモノ感は、娯楽としての程良さでマイルドに中和されています。園子温作品らしいエロ・グロ・バイオレンスの「過剰さ」は、意外と抑えられているのです。もう少しリミッターを外してもらいたかった気もいたします。もっと園子温らしい狂気が見たかった!
ラップには日本語字幕が出るのですが、良い判断ですね。まあ、歌う人には当然ながらうまいヘタがありますけれど、全体的には健闘しているのでは? なかなかクールな部分もありましたが、やはりこれは「爆音」で観たい(聴きたい)タイプの作品ですよね。 もうひとつ健闘していたのは美術。スラムの場面よりも、ブッバの屋敷のキンキラ・ゴージャスなあたりが高評価です。窪塚洋介の部屋の『時計じかけのオレンジ』リーパクも、まあ笑って許せますし。
それにしてもこのトライブたちの東京って、渋谷、新宿、池袋、練馬、武蔵野で成り立ってて、ヘンな地図ですね。銀座とか秋葉とか上野とか、東側ゾーンはどうなってるのか不思議です。
いずれにせよ鈴木亮平の振り切れ様には拍手を送っといた方がいいでしょうね。とても東京外国語大学出の知性派とは思えぬ芝居です。NHKもビックリだ。
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