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2014年10月22日 (水)

「悪童日記」:上質な疎開ハードボイルド

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映画『悪童日記』は、第二次世界大戦下を舞台にしたハンガリー作品。とにかく映画として「上質」です。何十年も前の既に評価が確立された「古典(クラシック)」を観るような感じでした。全てのカットに隙がありません。

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主人公の双子くんたちが見事にハングリー・ハートな雰囲気ですし、でぶっちょのおばあちゃんが怒りんぼでワイルドでキャラ強過ぎます。でもこの人、中盤以降「そんなに悪い人じゃない」ってことになっていき、(体は幅が広いけど)奥の深さを感じさせるキャラクターとなっております。助演女優賞モノですね。

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双子も周囲の人々も戦争に翻弄されて人間性を失ったりハードになったりしています。そこらへんの描写の塩梅が実にリアルです。

「疎開モノ」というと日本では『火垂の墓』がありますが、あれに較べるとこの子たちって結構恵まれてるかもなどとも思いました。とはいえ常に周囲に死があって、肉体的にも精神的にもハードな状況には違いありません。

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神父が双子に『十戒』を知っているかと問うた時に、彼らが発する答=「『汝殺すなかれ』って言うけど、みんな殺してる」っていうのは、うーん、刺さりますね。
それは言葉が生きた部分ですが、作品の多くの部分は行動で語っています。とにかく映画自体のたたずまいや描写が見事にハードボイルドなのです。

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