「悪童日記」:上質な疎開ハードボイルド

映画『悪童日記』は、第二次世界大戦下を舞台にしたハンガリー作品。とにかく映画として「上質」です。何十年も前の既に評価が確立された「古典(クラシック)」を観るような感じでした。全てのカットに隙がありません。

主人公の双子くんたちが見事にハングリー・ハートな雰囲気ですし、でぶっちょのおばあちゃんが怒りんぼでワイルドでキャラ強過ぎます。でもこの人、中盤以降「そんなに悪い人じゃない」ってことになっていき、(体は幅が広いけど)奥の深さを感じさせるキャラクターとなっております。助演女優賞モノですね。

双子も周囲の人々も戦争に翻弄されて人間性を失ったりハードになったりしています。そこらへんの描写の塩梅が実にリアルです。
「疎開モノ」というと日本では『火垂の墓』がありますが、あれに較べるとこの子たちって結構恵まれてるかもなどとも思いました。とはいえ常に周囲に死があって、肉体的にも精神的にもハードな状況には違いありません。

神父が双子に『十戒』を知っているかと問うた時に、彼らが発する答=「『汝殺すなかれ』って言うけど、みんな殺してる」っていうのは、うーん、刺さりますね。
それは言葉が生きた部分ですが、作品の多くの部分は行動で語っています。とにかく映画自体のたたずまいや描写が見事にハードボイルドなのです。
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戦争と、周囲の大人たちによって、彼らは作られた。
兄弟はいつも一緒、同じ行動。気持ちも一つの一心同体、手段は選ばない。生き延びるためなら。
ハンガリー出身の亡命作家アゴタ・クリストフの処女小説にして世界的ベストセラーを実写映画化。
アカデミー...... [続きを読む]
受信: 2014年10月23日 (木) 01時06分
» 悪童日記 [to Heart]
原題 Le Grand Cahier
製作国 ドイツ/ハンガリー
上映時間 111分 映倫 PG12
原作 アゴタ・クリストフ 『悪童日記』(早川書房刊)
監督 ヤーノシュ・サース
出演 アンドラーシュ・ジェーマント/ラースロー・ジェーマント/ピロシュカ・モルナール/ウルリク・トムセン/...... [続きを読む]
受信: 2014年10月23日 (木) 11時37分
» ショートレビュー「悪童日記・・・・・評価額1700円」 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
生きるために、彼らがした事。
戦時下のとある国。
都会で育った双子の兄弟は、迫りくる戦火から逃れるため、“魔女”と呼ばれる粗野な祖母の家に疎開する。
片田舎の農家では働かなければ食事も与えられず、祖母からも村人からも意味もなく殴られる過酷な日々。
村は外国の軍隊の占領下にあり、ここでは生と死はごく薄い壁によって隣り合わせの関係にあることを兄弟は知ってゆく。
やがて彼らは、厳しい...... [続きを読む]
受信: 2014年10月27日 (月) 23時51分
» 悪童日記 [象のロケット]
1944年、第二次世界大戦下のヨーロッパ。 双子の兄弟は、両親と暮らしていた大きな町から、祖母の住む小さな町へ疎開した。 祖母は笑顔も見せず、兄弟をこき使い、しょっちゅう殴る。 彼らは、出征した父親から渡された大きなノートに、自分たちの毎日の暮らしを、良いことも悪いことも正直に記録する。 そして過酷な毎日に耐えられるよう、肉体と精神を鍛える「訓練」を行うのだった…。 戦争ヒューマンドラマ。... [続きを読む]
受信: 2014年10月29日 (水) 18時16分
» 『悪童日記』 無垢であり邪悪である視線 [Days of Books, Films]
Le Grand Cahier(viewing film) アゴタ・クリストフか [続きを読む]
受信: 2014年10月31日 (金) 15時30分
» 映画・悪童日記 [読書と映画とガーデニング]
原題 LE GRAND CAHIER2013年 ドイツ・ハンガリー合作原作 アゴタ・クリストフ「悪童日記」
第二次大戦中のハンガリー軍人の父(ウルリッヒ・マテス)は戦地に赴き、双子で9歳になる「僕ら」(ラースロー・ジェーマント、アンドラーシュ・ジェーマント)の暮らす街...... [続きを読む]
受信: 2014年11月 1日 (土) 13時45分
» 一心同体~『悪童日記』 [真紅のthinkingdays]
A nagy fuzet
LE GRAND CAHIER
1944年8月、ヨーロッパのある国。戦争の足音が次第に高まり、街で暮らし
ていた双子の少年(アンドラーシュ&ラースロー・ジェーマント)は、母の実家
のある田舎町に疎開する。そこには、人々から 「魔女」 と呼ばれる祖母が
いた。彼女は初めて会った彼らを 「メス犬の子ども」 と罵り、厳しい労働...... [続きを読む]
受信: 2014年11月 6日 (木) 13時42分
» 『悪童日記』をトーホーシネマズシャンテ2(2F)で観て、ピカレスクよのうふじき★★★ [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【★★★法律と戒律を越える事】
戦時下の生活の中で、双子の少年は法律(国)も戒律(宗教)も確かでない事、その欺瞞を知る。彼等はそれを超えたものを体得し ... [続きを読む]
受信: 2014年11月 6日 (木) 22時28分
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