「まほろ駅前狂騒曲」:ゆるすぎてスカスカ
映画『まほろ駅前狂騒曲』は、瑛太と松田龍平のゆるい掛け合いを楽しむべきバディ・ムービー。とわかってはいるものの、二人のゆるい空気以上に演出やテンポがあまりにゆるゆるのスカスカなんで、さすがにノレなかったです。
こういうオフビートで気合いの入らないゆるさって、基本的に松田龍平の個性から引っ張って来ているのだと思いますが、そのトーンが徹底した結果、本作では映画全体が弛緩しちゃってます。
龍平ネタでは「ライターから馬鹿みたいにでかい炎」ってのは、父優作の工藤ちゃん(『探偵物語』)ですよね。工藤ちゃんはジッポーで、本作のコンビは百円ライターでしたけど。
(以降少々ネタバレあり) そして龍平によるもう一つの優作ネタは、終盤のバスで腹を撃たれてその血を手で押さえる場面。『太陽にほえろ』のジーパン刑事の最期ですね。今まで数限りなくパロディーになっているので、さすがにここでは「なんじゃこりゃー!」とは言わせませんでしたが。
それにしても(『ドライブイン蒲生』の時にも書きましたが)永瀬正敏に以前のオーラが全く無くなって、もっさりした体の大きなおっさんにしか見えないのが寂しいですね。
男中心に転がっていく物語ですが、(だからこそ?)女優陣がスパイスとしてよく利いてます。本上まなみ、市川美和子、真木よう子、奈良岡朋子、子役の岩崎未来ちゃん、みんな良いです。彼女たちの場面はだらしなくゆるゆるにはなっていないもんなあ。
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