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2014年11月 3日 (月)

「誰よりも狙われた男」:名優P.S.ホフマンを偲びましょう

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映画『誰よりも狙われた男』は、フィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作(ってことは、助演作ならまだある)ってことですが、ここでも名演を見せていまして、つくづく惜しい俳優を亡くしたものです。太った体で息を切らしながら、チェーンスモーカー状態にタバコを喫い続け、酒やコーヒーを飲む。その不健康そうだけど実にリアルな存在感。そして世俗の汚れの中に、それでも一握りのイノセンスがあるってところを説得力を持って演じているのでした。

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ジョン・ル・カレのスパイものの映画化作品って、どうにもしんねりむっつりしていてわかりにくくて好きになれなかったんですが、これはかなりわかりやすくて登場人物への感情移入も容易なので、いやそれ以前にキャラクターの描き分けと描きこみが上手になされているので、初見でも比較的飲み込みやすいエンタテインメントになっていました。

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人物を生き生きとさせた役者たちが、フィリップ以外も見事。レイチェル・マクアダムズのキャラクターのニュアンスと陰影。ウィレム・デフォーのリッチなビジネスマンの空気。ロビン・ライトの職業的に腹に一物ある感じ。背の高い秘書のお姉さんも複雑な味わいをきっちり出していましたし。 とりわけデフォーのスリムなダークスーツ姿(コート姿も含めて)がブリリアントにカッコ良かったです。

(以降ややネタバレあり) ラストはなんとも苦い、砂を噛むよう349727_008な味わいでしたが、「大人の味わい」とも言えるでしょう。それにしてもフィリップの主演作最後の台詞が「F」のfour-letter word(この発声がまた鳥肌ものの見事さ!)だという事実に、キューブリックの遺作『アイズ・ワイド・シャット』のラストの台詞=キューブリック映画最後の台詞 も「F」のfour-letter wordだったよなあと思ったりしたのでした。

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